2007/12/24

ヴィクトリア女王  

・「ヴィクトリア女王 大英帝国の"戦う女王”」
著者:君塚直隆
出版:中公新書
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1838年19歳にして英国女王の座に着き、1901年81歳でこの世を去った英国女王の伝記。
その一生は英国が「大英帝国」として絶頂期を迎える過程と重なっているとともに、「君臨すれども統治せず」(ウォルター・バジェット)という理想的君主のモデルともされている。(ま、実情はかなり違っているようだが)

本人もかなり興味深い人物ではあるが、何より「時代」が面白い!

「貴族政治から大衆民主政治へと移り変わる時期の国内の政党政治や議会政治。ウィーン体制が崩壊し、ビスマルクの時代を経て、列強間がブロック化していく時代の激動のヨーロッパ国際政治。そして、イギリスを先頭に、欧米諸国が競って植民地の拡大に乗り出した世界大のスケールでの帝国主義競争。世界がまさに近代から現代へと移り変わろうとする時代」(あとがき)

僕はイギリス国内政治の歴史には詳しくないので政党政治の立役者たちのことはあんまり知らないが、イギリス国内での有名どころがワンサカ出てきているのは窺がうことが出来る。(本書の多くは、女王と政党政治とのせめぎ合いに割かれている。これが人間模様に溢れていて、結構、面白いんだよね)
国際政治のほうは、まさに「オンパレード」って感じ。
女王のライバルとなるビスマルクを筆頭に、ナポレオン三世、ドイツ皇帝ヴィルヘルム一世、ロシア皇帝アレクサンドル二世・三世、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ一世。そして晩年には、第一次大戦のきっかけをつくるドイツ皇帝ヴィルヘルム二世と、日露戦争を起こし、革命に倒れるロシア皇帝ニコライ二世の即位に立ち会うことになる。(いずれもヴィクトリア女王とは親戚関係にある・・・ってあたりがヨーロッパ)
ヴィクトリア女王の時代は日本にとっては「明治維新」とも重なっており、遣欧使節団の岩倉具視が登場したり、日清戦争が背景に登場したりと、ここら辺も興味深い。

全般に面白かったけど、特に印象に残ったのは、「アルバート公(女王の夫君)の生涯」「老大人グラッドストンとの確執」「晩年のビスマルクとの謁見」あたりかな。
いずれもドラマティックで、幕切れには一抹の「哀しみ」を感じざるを得ない。
ここら辺は「歴史的事実」でもあろうが、作者の筆加減によるところも少なくないんじゃないかと思う。

それにしても「中公新書」。頑張ってるナァ(笑)。
こういうしっかりした作品を「新書」で出版するというのはたいしたもんだと思う。
「老舗の意地」もあるんだろうけど、こういう路線を堅持して欲しいもんである。



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