2007/6/29

サムライ・ノングラータ T・U  

著者:矢作俊彦・司城志朗
出版:SB文庫
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矢作・司城コンビによる3部作の三作目「海から来たサムライ」の改稿版。
矢作作品は殆ど持ってるんだけど、このコンビの3作だけは手元にないので、この改稿・新刊は嬉しかったナァ。解説(井家上隆幸)によると、
「1ページ目から、ゲラは真っ赤になり、ついには照合不能なほど、入れ替え、書き換えられている」
くらいの大幅改稿がされているらしいが、哀しいかな、スッカリ前に読んだときのことは忘れ去っていたので(笑)、どこらへんが改稿されたかなんかには全く気が付かなかった。
ま、その分、新たな気持ちで楽しめたから、それはそれでいいんだけどね(笑)。

陸奥宗光、東郷平八郎、北一輝、南方熊楠なんて、歴史上の大物から、杉山茂丸、ホーマー・リーなんてマニアックな人物まで登場する、虚実入り混じった冒険小説。
多分、僕が気付かない「実」が結構散りばめられているんだろうナァって「気配」がする。ここら辺を「面白い」とするか、「不親切」とするかは意見の分かれるところだが、僕は「面白い」と思うね。
ストーリーは正に「破天荒」「波乱万丈」で、サービス精神タップリの冒険に次ぐ冒険。多少の不都合は勢いで乗り切っていく感じ(笑)。
矢作作品としては描写にひねりがないけど、これは司城志朗の分担だからだろうな(その分、骨太な「推進力」がある)。第一矢作俊彦に書かせていたら、多分話は前に進まなかったろう(笑)。
「気障」一歩手前の気の利いた台詞の連発は矢作俊彦っぽいから、この作品の二人の分担は丁度いい感じなんじゃないかね。

「ヘーゲルはどこかで述べている、
すべての世界史的な大事件や大人物はいわば二度現れるものだ、と。
一度目は悲劇として、二度目は茶番(ファルス)として、と、彼は、つけ加えるのを忘れたのだ。」
本作の「序」には有名なマルクスの文章が掲げられている。
「日本の青年がハワイの少女と交わした約束が履行され」たのを「真珠湾攻撃」としながら、それを「茶番」とする。
このシニカルさが、如何にも矢作俊彦。
読み終えて、やられたなって感じが嬉しい。

折角なんだから、矢作・司城コンビのほかの二作もこの文庫で再刊してくれないかなぁ。

(ちなみにこの改題(「好ましからざるサムライ」、かな?)、なんか他の作品で見た覚えがあったんだけど、ネットで検索して分かった。
矢作・谷口ジローコンビのコミックスであったんだよね、この題名が。
内容は全然違ってたんだけど、この使い回しはなんか意図があるのかネ)



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