2006/10/15

これも経済学だ!  

著者:中島隆信
出版:ちくま新書
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以前「ヤバい経済学」を読んだとき、その面白さにかなり刺激を受けたものの、「もう少し『日本』に身近な事例が欲しいな」と思いもした(まあないもの強請りだ。実際には「大相撲」の事例が載っていて、それだけでも驚くべきことだったんだが)。
本書を知ったとき思ったのが、「これは『ヤバい経済学』の日本版かな」という期待だった。

結論から言うと、「期待通り半分、期待はずれ半分」。
確かに「日本」固有の事例を取り上げ、「経済学」という視点から興味深い側面を照らし出すという点は期待に応えてくれた。
大きく「伝統文化」「宗教」「社会的弱者」という区分で、その存在・活動の裏に経済学的な「合理性」があることを示しているのが本書だ。具体的な事例も多く触れられており、説得力はあると思う。
ネタとしてはナカナカ触れにくいものもあるのだが、そこを恐れずに突っ込む姿勢も評価していい。

「期待はずれ」は作品のスタイル。
「ヤバい経済学」は「経済学」とは縁がないと思えるような事象を取り上げ、経済学的思考を以てその「構図」をあからさまにし、統計的な分析も加えることで、裏づけも提示すると言う作品だった。「経済学」特有の「数式」による概念化は薄いものの、統計は重視しており、そのデータの取り方に「ゲーム性」にょうなものも感じられ、そこが魅力の一つにもなっていた。
本書の場合、この「統計的裏づけ」の部分が乏しい。
これは「やってない」と言うより、「煩雑になるから『新書』には向かないだろう」との判断から作者が割愛したのではと思うのだが、「読みやすさ」と言う点への配慮と言う面は評価しつつ、「ヤバい経済学」との比較においては「クレバーさ」と言う面で、一歩も二歩も劣っているように見える結果となったのは残念だと思う。

まあでも「ヤバい経済学」はジャーナリストとの共著だからな。「見せ方」が優れているのはそのことにも起因しているだろう。
「少し変わった視点(=「経済学的視点」)を持ち込むことで、固定化された思考に柔軟性を与える」
と言う狙いは両書とも共通しており、本書もその目的は果たせている。
比較するとチョット「もったり」した感じもあるんだけど、まあこれは仕方ないかな。



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