2006/9/28

富の未来<上・下>  

著者:アルビン・トフラー、ハイジ・トフラー(山岡洋一・訳)
出版:講談社
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最近のこの手の本では、少し前に読んだ「フラット化する世界」と並ぶ興味深い内容を取り扱った本。と言っても学術的な内容でも小難しいものでもなく、面白く読める。
時にはこういう本を読んで知的な刺激も受けておかんとね(笑)。

本書で取り扱われているのは「時間、空間、知識」(特に「知識」。トフラーだからね)が現代の中で急激な変化に晒されている様。それらが具体的な事象に則して紹介され、分析されている。
「フラット化する世界」が、どちらかというとインターネットに始まる情報ネットワークの進化に則した世界観の変容を描いていたのに対し、本書はもう少し「深い」「基礎的な」部分での変容を、より広い視野で描いている。
その分、散漫になり、イメージが把握しづらい部分はあるんだが、「刺激」という点ではコッチの方が色々な点であったかね。

「知識経済」となればトフラーの「お家芸」みたいなもんだが(笑)、その視点を追い続けた人の作品だけに、この点に関しては鋭いところがあると思う。20世紀から21世紀への社会・経済の流れを見ると、「第二の波(工業化)」から「第三の波(知識経済化)」への流れというのは現実を捉えるフレームワークとしてはかなり有効的だったと思うので、「トフラーの眼は確かだった」と言ってもいいだろう。
もうかなりの「お歳」になるはずだが、これだけ多様化した社会のあり様を追いかけ、分析し、提言するのは大したもの。いやはや、かないませんね。

全体として刺激に満ちた本だが、幾つか上げると以下のような点。
一つは「教育」ですね。
現代の教育が、「学校の荒廃」といった以上の根本的な部分で崩壊しつつある(簡単に言えば、「現在の教育制度は『第二の波』に適して構築されており、『第三の波』には全く対応できていない」)ことが記されていて、子供を持つ身には考えさせらる。
だからといって「お受験」させりゃいいってもんでもないようだが(笑)。

二つ目は「中国」の位置づけ。
中国が現在の繁栄の裏に種々の大きな問題を抱えていることは事実だろうし、その点は本書でも指摘されている。「第二の波」と「第三の波」に同時に対応しようという「長期複線戦略」を中国が取っていることも、知らないことではない。
でも現在の中国の動きを、(意識的、戦略的ではないにせよ)「(インドとあわせ)世界で最大の貧困地域で、貧困層からの脱却を図っている」と捉えているは新鮮だし、(ちょっと大袈裟に言えば)感動した。
「格差」の際に問題なのは、「差があること」じゃなくて、最低ラインが下がっているのか上がっているのかだ、というのは、(貧困地域を考える際には)正しい指摘だと思う。

「フラット化する世界」ではあまり「日本」のことは書かれてないが、本書では「日本」の現状分析にも1章割かれていて(比較的好意的だと思う)、その点も良かった。

「悲観論者が天体の秘密を解明したことはないし、地図にない土地を発見したことはないし、人間の精神に新しい地平を切り開いたこともない」
というヘレン・ケラーの言葉を引用して、トフラーは悲観主義に異議を唱え、自身の楽観的な見方(ただ悲観的要素があることはかなりチャンと指摘されていますが)を擁護しているが、まあ僕も本書は若干楽観的に過ぎるとは思う(笑)。
でも「楽観的」でなければ前に進めないことも確か。
コレだけの悲観的要素を認識しながら、なお楽観的な未来を見ようとするトフラーの精神力の強さこそ称揚すべきかもしれんな。

やっぱ「edy」とか「お財布ケータイ」とか使いこなせるようにならなきゃいかんかね(笑)。



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