2006/9/22

夜のピクニック  

著者:恩田陸
出版:新潮文庫
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福岡のときの代理店の部長さんに「陸上」好きの方がいた。毎年、「10キロマラソン」やら「駅伝」「ハーフマラソン」等々、色々な企画を催され、僕も結構参加していた。
参加は任意で、参加しなくても別に仕事上の不利益はなかったのだが(そういう点、立派な方だったね)、皆でワイワイやるのが面白くて、割合参加するのが面白かった覚えがある。
そんな企画の中で最もハードだったのが「100キロウォーキング」。さすがにこれは参加する勇気も体力にも自信がなくて、僕は「看護班」として車で伴走しただけだが、それだけで十二分にその厳しさは理解できた。一方で参加した連中が一応にその「苦しさ」を楽しそうに(少し自慢げに)、機会あるたびに話していたノガ印象的だった。
本書を読んで、そのことを思い出した。

「恩田陸」は評判がいいのは知っていたが、作品を読むのは本書が初めて。色々なジャンルの小説を書いているんだが、逆にそのことが取っ掛かりづらくしていたのと、苦手とする「ホラー」を結構書いているのが(明確な苦手意識はないものの)今まで避けてきた理由だと思う。
ただ本書に関しては発売当初からかなり評判が良く、内容的にも「面白そうだなぁ」と思っていたので、今回文庫化されたのを契機に購入した次第。

まあ確かにコレはいい作品だ。
高校生が学校行事として行う「80キロウォーキング」を題材とし、劇的なドラマもないままに描き切って、これだけ読ませるのは大したもんだ。文章も読みやすくありながら、「深み」も感じさせるところがあって、感心させられる。
視点を参加している高校生たちに絞り、例えばイヴェントを仕切っているはずの教師たちなどを登場させない構成は、目立たないが、並みの力量ではできないことだと思う。

欲を言えば、もう少し「強引さ」が欲しかったかね。例えば浅田次郎みたいに、読む者の胸倉を取って振り回すようなところあっても良かったんじゃないかな、と。
ちょっと「優し過ぎる」んだよね。
確かにそれが持ち味なんだけど…。

でも「他の作品も読んでみたいな」とは思わせてくれた。
それだけの魅力は十分にある作品だと思うヨ。

(そういえば数年前に母校の後輩たちが似たようなイヴェントをやったな。彼らが読めば、また違った感慨もあるんだろうなぁ)




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