2006/9/20

行動経済学  

・「行動経済学 経済は『感情』で動いている」
著者:友野典男
出版:光文社新書
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少し前に読んだ「市場社会の思想史」の時にも思ったんだが、「経済学」というのは「人間」という存在をその理論の中にどのように取り込むかに苦闘している学問だと思う。
勿論「経済活動」というのは極めて人間的な行為なので、「人間」を無視することはできないんだが、人間の持つ「多様性」や「不確実性」に囚われ過ぎると、「学問」としての合理性を失ってしまう。しかしそうした側面を無視して合理性・論理性を追求して行くと、現実との乖離が激しくなってしまい、「学問」としての有用性を失ってしまう。
まあナカナカ難しいなぁって気がする。

本書で取り上げられる「行動経済学」は経済学としては最新の分野になるようだ。上記の流れで言えば、「人間性」というものを「経済学」にかつてないほど積極的に取り込んでいる分野と言えよう。
最初パラパラ眺めていると、何だか数式やらグラフやらが沢山掲載されているので、「数学大ッ嫌い」の僕としては「面倒そうやなぁ」と読む前からネガティブな気分になっていた。
ところが読んでみるとコレがなかなか面白い。
確かに「数式」や「グラフ」は沢山出てくるんだが、どちらも前提となっている「考え方」が常識の範疇で納得感がある内容なので、すんなり読むことができるんだよね。「学問」するわけじゃないんで、多少わかんなくても、読み飛ばせばイイ訳だし(笑)。むしろ従来の合理性・論理性を偏重した「経済学」なんかに比べると、全体のイメージは掴みやすかった。(勿論、「学問的に」把握するには、生理学・生態学・心理学までも含めた非常に広範な知識を要するので、大変なんだろうが)

ただ「経済学」としてはあまりにも「人間的」過ぎるような…。
この学問の重要な視点は、「前提となる条件は、置かれた状況・時代、関与する人間・社会等々によって変わってしまい、不変なものではない」ということにあり、それはスゴク納得できるんだけど、それを突き詰めていくと、学問としての「予見性」「再現性」が極めて難しくなってしまうんじゃないか、と…。

まあそこら辺は勿論認識されていて、だからこそイメージとしては把握できても、理論としては非常に難しいものになってしまうんだろう。まだまだ学問としては端緒についたばかり(「行動経済学元年」は1975年とのこと)だから、現実への有用性が問われるのは「これから」ということなのかもしれない。

ただ「学問」としてはともかく、「視点」としてはチョット面白いものがあった。そういう意味では(軽い本じゃないが)「お勧め」です。



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