2006/7/26

情と理<上・下>  

「情と理<上・下>カミソリ後藤田回顧録」
著者:後藤田正晴
出版:講談社α文庫
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一世代、二世代前の官僚・政治家のレベルが如何に高かったかが良く分かる一冊。
何となく「政治家」というと、「口だけ」というイメージが個人的にはあるだが(笑)、なかなかどうして、知識、見識、腹の据わり方、どこをとっても感心せざるをえない(まあ後藤田さん個人だけかもしれんが)。直前に安倍晋三氏の著作を読んでいただけに、ちょっと考えさせられた。(やっぱ「軽い」わ。安倍さんは)

個人的には後藤田氏の立場には賛成できるものばかりではない。それに、理念を貫くか、政治的な対処(妥協、撤回等)をするか、その線引きの部分が、少し政治的な方向に寄りすぎているような感じもする(まあ「政治家」だからね)。ただその底にあるのは、利権や権益、自身の権力拡大などではなく、現実主義者としての処し方であるというところはハッキリしていて、不浄な感じはしない。
警察時代、後藤田氏は大衆運動を取り締まる立場にあり、その点で種々の軋轢も生んでいる。少し前なら僕自身も「後藤田は右翼的だ」と思って反発していたところだが、当時のことを色々知るようになり、なかなかそんな単純なことではなかったんだな、と思うようになった。少なくとも後藤田氏の言う、「自国の軍隊が自国民に銃を向けるようなことがあっては絶対にならん」との信念から自衛隊の介入に断固反対した経緯は、日本の戦後にとって大きなプラスになっていると思う。

しかしまあ、こういう経歴、考え方の人が、今の日本の状況では「リベラル」に位置づけられるというのが(解説は「筑紫哲也」だし)、社会全体の右傾化を反映しているようで、何とも言えんね。



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