2010/10/30

読書録「マイルスの夏、1969」  

・マイルスの夏、1969
著者:中山康樹
出版:扶桑社新書

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マイルス新書シリーズ第三弾は、マイルス・デイヴィスがエレクトリックに足を踏み込んだ頃。
傑作「ビッチェズ・ブリュー」誕生を巡るエピソードを紹介している。

僕が聴くマイルスはここら辺までかなぁ。
でもここら辺の作品になると(「ビッチェズ・ブリュー」や「イン・ア・サイレント・ウエイ」ね)、気楽に聴くって感じにはならない。
iPhoneで通勤途中に聴きながら、
って感じのアルバムじゃないんだよね。
一時期は集中して聴いてたんだけど、最近はあんまり聴いてないってのが正直なところ。
傑作だと思うし、好きなんだけどねぇ。

本書で描かれるマイルスは、今までと違い、外部の影響を強く受ける姿を見せる。
ジミヘン、ベティ・デイヴィス、ジョー・ザヴィヌル、テオ・マセロ…
何より「時代」がマイルスをある方向性に押し出してるような印象がある。
それはジャズと言うジャンルを通じて「時代」を作り、先端にあり続けた巨人の姿とは、少し違うスタンスなんじゃないかな。
勿論、その中でマイルスは圧倒的な存在感を見せつけ、素晴らしい演奏を作品として残してくれている。
その意味で、またもやマイルスは時代を切り開き、多大な影響を後塵に与えたのは間違いないだろう。
でも「ロック」が彼の中から出て来たものなのかどうか…。
ニューポート・ジャズ・フェスティバルで、スライを見て暴徒化した若者たちを見ながら呟いたマイルスの言葉。

「さて、オレはどっちに行くかな」(p.120)

このクールな距離感が、マイルスとロックの距離感を象徴している、と言うのは、僕の感じ過ぎ?

本書では「ビッチェズ・ブリュー」の製作過程が描かれ、その中でマイルスがどのように創造的アプローチを取ろうとしていたかが垣間見える。
これはチョット意表をつかれた感じもあったな。
熱心なファンには周知のことなのかも知んないけど、僕には「へぇ」って感じ。
ま、「その程度のファン」ってことかもしれんけどねw。

〈本書によって世界中のマイルス研究がネクストレヴェルに移行したといっても過言ではない。〉(菊池成孔。帯より)

いや、過言だとは思うけどw、意欲的な作品であるのは間違いない。
登場人物の多彩さも含め、今までのシリーズの中では一番楽しめました。

久しぶりに「ビッチェズ・ブリュー」、聴きますかねぇ。




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