2006/6/17

代表的日本人  

著者:内村鑑三  訳:鈴木範久
出版:岩波文庫
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「武士道」(新渡戸稲造)、「茶の本」(岡倉天心)に並ぶ、日本人の文化・精神を欧米人向けに記した明治の作品。文明開化後の日本人や日本の劇的な変容(特に大正以降、戦後)を反映しないこういう作品を読めることは喜ばしいことだが、一方でそういう作品に感銘を受けると言うことに、日本人としての自分の欠落を見るようであり、複雑なものも感じるのも確かだ。

本作は正確な「伝記」というのと違う。例えば「上杉鷹山」の生涯など、ここで描かれたような順調なものではなかったことは、藤沢周平の作品を読めばすぐに分かる。
つまり本書で描かれている「人物像」は、内村鑑三の思想を反映した「人物像」なのだ。そしてその「人物像」が魅力的に見えることが(ま、「西郷隆盛」の侵略主義的な部分なんかはいただけないが)、本書の「価値」なんだろう。
ケネディ大統領が「最も尊敬する日本人」として「上杉鷹山」を挙げたのには本書の影響があるはずだが、それも納得できる。

ちなみに本書は95年の「新訳」。お蔭で読みやすい、読みやすい(笑)。
同じ岩波文庫の「武士道」を読むときは、内容よりも「訳文」を読みこなすのに苦労したもんなぁ。
ただここには日本文化や精神だけではなく、言語においても急速な変容を被っている日本人の姿があると言えるのかもしれない。
単なる僕の勉強不足に過ぎんかもしれんが(笑)。



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