2010/6/30

読書録「ジーン・ワルツ」  

・ジーン・ワルツ
著者:海堂尊
出版:新潮文庫

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現代日本医療行政の問題点や課題を題材にしながら、エンターテインメントとしてレベルの高い小説に仕立てあげる海堂作品の最新文庫版。
結構な勢いで作品を発表してるから、最近は文庫になってから読むようにしてるんだよね、この作者の場合w。

今回のネタとなるのは、産科医を中心とした「地域医療の崩壊」と、「代理母出産」問題。
「出産」を巡るテーマって言うのは、生死と隣り合わせであり、医療崩壊に見るように、そこでの「善悪」「正義」の問題って言うのは単純に割り切れない側面があるので結構微妙なんだけど、本作はそこんとこ上手く物語に仕立ててると思う。

…っちゅうか、思ってた以上に心動かされちゃったんだよね、実は。
「代理母出産」のところは、「まあ確かに問題よなー」位だったんだけど、登場する妊婦たちのドラマがねー。
特に無脳症子供を出産するエピソードは…。
僕にも子供が二人いて、何とか今のところは健康に育ってくれてるけど、彼等の出産にだって色々あった。
勿論、そこにある苦悩と等価ではないだろうけど、それでも自分の経験から推測するコトでグッと引き込まれてしまった。
理性的な判断ではない。
しかしその気持ちは十分に理解できる、と。

産科地域医療の崩壊も二人目の出産の時には何となく実感するコトが出来たな。
本作の問題意識は、確かに現実にリンクしていると思う。

まあ正直言うと、小説としての「仕掛け」の部分には「?」ってとこもあるんだけどね。
書き込みがもう少し欲しいところもある(ここは続編で描かれている部分もあるようだが)。
しかしそれらの瑕疵を加味しても、興味深かく、そして面白く読める作品だと思う。

続編(「マドンナ・ヴェルデ」)が単行本ででてるんだよねー。
同じ時期別の人物の視点から語った作品…とのこと。
うーん、文庫化まで待つべきか、否か。
迷うなー。




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