2010/6/25

読書録「反貧困」  

・反貧困 「すべり台社会」からの脱出
著者:湯浅誠
出版:岩波新書

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「『若者はかわいそう』論のウソ」なんかと併せ読むと、「貧困」や「フリーター」に関する問題点というのは、微妙な「階層」問題であるコトが見えてくる。
「若者は…」が指摘していたのは、

@高卒以下の層は非常に厳しい状況にある。
A産業構造の変化により、コミュニケーション力を求める産業が中核となっており、コミュニケーションを不得手とする層の受け皿となる産業が厳しくなっている。

…という現状。(@とAは重なり合う部分も少なくないが)
「貧困」がまず襲っているのは、この層に重なるんじゃないかと思う。

勿論、それはそこだけにとどまるコトはない。
非正規労働者に対する厳しい状況は、正規労働者へのプレッシャーともなり、社会全体を神経質なものとする。
勝間本ターゲットとするのは、このプレッシャーを感じる層であり、例えば上記「A」のような資質から、自らの居場所を見失ったような人を香山氏は見ているんじゃないかね。
まあ単純化し過ぎてるかもしんないけど。

08年出版の本書は日本における「貧困」を考える上では、今でも十分に説得力のある内容になっていると思う。
ただその後政権交代があり、湯浅氏は政権に協力する立場に立つコトとなった(一度辞職したけど)。
それによって、貧困対策は前進したんだろうか?
勿論、全てが劇的に変化するというのはナカナカ難しい。
そのことは鳩山前首相が自ら体現してくれている。
しかし方向性を示すコト位は出来る時間はあったろう。
貧困対策の第一は、貧困を可視化すること、キッチリとした貧困に関する統計を整備することにある。
まずはその「一歩」期待したいのだが…。

財務省に取り込まれた菅さんじゃ期待出来ないかなー。(一方で、「強い社会」ってフレーズは本書に重なったりもするんだけどね)

個別事案に引きずられて全体像を歪んで把握してしまうことは、やはり避けるべきだろう。
それでもなお、ここで紹介される「実例」に心を動かされる。
「自己責任論」歪みについても本書は丁寧に説明してくれている。

社会に「溜め」を作る。

今の日本を考える上で、非常に参考になる一冊だと思います。




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