2010/3/27

読書録「クラウド時代と<クール革命>」  

・クラウド時代と<クール革命>
著者:角川歴彦
出版:角川oneテーマ21

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「角川歴彦」というと、角川春樹氏がコカイン事件で角川を去った後、社長を継いだ弟ってイメージしか持ってなかったんだけど、本書を読むと、経営者としてはかなりシッカリとした知見を持った人ではないかと。
角川春樹氏のような「カリスマ性」は感じないけど、「組織のトップ」としては、こういう人のほうが手堅いかなぁって印象を持った。
(ちなみにこの機会に角川春樹氏の退任前後の事情をネットで読んだんだけど、単純に「後を継いだ」って話じゃないようですな。
一連のドロドロぶりは、それだけで小説や映画のネタになりそうな話。
ま、この本とは関係ないけど(笑))

「角川」はもともとメディアミックスに熱心な会社だけど、そのトップがこういう考えを持ってるんなら、確かに頷けるね。

現状を踏まえた上で、「『知』のグローバリゼーション」を展望し、その中での「クラウド・コンピューティング」の持つ意味合い、「大衆」の「巨大知」が意味を持つ「クール革命」の意義を解説。
その上で、今後我が国がどのような方策を取るべきかについて「提言」する。

・・・っていうのが、本書の概要。
自分自身が見聞きした内容や、事業として判断した内容(MADのことは知らなかった)をも踏まえた内容になっていて、そういう意味では単なる理論や概念の披露になってないところは、本書の価値だろう。

全体的には刺激を受ける内容だったけど、ちょっと考えさせられたことをいくつか。

その一つは「著作権」絡みの話。
作者自身は現在の「オプト・イン」方式の日本のやり方には問題意識を持っており、アメリカの「フェアユース」方式を評価しているように思うが(僕自身も、これは賛成)、一方で「クラウドコンピューティング」による集権化が進む中で、著作権管理が効率的・網羅的になることにも期待している。
「MAD」との関係なんかを考えると、作者自身はガチガチに著作権で縛る考えは持ってないんじゃないかと思うけど、ここは慎重にやらないと、創造性の抑制につながってしまうと思う。
「網羅性を利用して、管理はするが、利用に関しては柔軟に対応できるようにし、課金も『薄く、広く』に徹する」
まあここら辺なら許容できるかな?

もう一つは「提言」のところ。
確かに安全保障的な概念からも、日本が国家として「クラウド」に取り組むことは必要だと思う。
一方で、官僚が関与することで、「スピード感」「効率性」「利用性」において、アメリカに互するものができるのかどうか。
個人的には日本官僚の優秀さは認識してるんだけど、上記のようなポイントは官僚制とは反しちゃう部分なんだよね。
従って、ここはやはり「民」に担ってもらう必要がある。
「基本的なインフラ構築のための環境は国が用意しながらも、設計・運用は『民』に任す」(国が選定するんじゃなくて、国が用意する枠組みの中で、民間企業を競わせる・・・って意味)
そういう対応が不可欠なんじゃないか、と。
これは日本がすごく不得手なやり方でもあるんだけどねぇ。

「『知』のグローバリズム」
「クール革命」
「クラウド化」

・・・それらが生み出す「価値」を考えると、この方向性は不可逆なものだろう。
従ってそれを受け入れた上で、どのように対処していき、それを活用するのか。
考えるべきはコレ。
その一助として、本書はナカナカ面白いと思うよ。




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