将棋舞玉 第8番
本局は簡単な形で美しい趣向を表現した名作で、非常に有名な作品である。
初手1一角成とし、同龍とも同玉とも取れず、3一玉と逃げる玉に2三桂、同龍、2一馬とスリ寄る。玉は再び逃げる。これを四度くり返すのである。
趣向詰はたいてい複雑な舞台装置を必要とするが、本局は実に簡単で、何の仕掛けもない場所で、大駒三枚と持駒四桂で鮮かな趣向がくりひろげられる、奇跡のような作品である。
四桂を使い終って馬による横追い趣向が終了した後は捌きに移り、左下隅に追い込んで詰みになるが、全部の駒が捌け、気のきいた収束となる。
見事な趣向詰の典型といえる九代宗桂の代表的名作である。

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