将棋妙案 第73番
本題は「金鋸」であるが、5・6筋を中心に左右に金鋸を引く傑作である。
まず左鋸。初手6七飛、同玉と捨て、6六金7七玉、7六金以下金鋸が始まる。
手順中、7九桂、同歩成と、7九を封鎖しておくのが重要な手順。金鋸を9九まで引いて、折り返し、24手目で6五角と角筋を切り換え、今度は4五銀、同玉、5六金以下右に金鋸を引く。
この切り返し、左右対称の構成が本局のすばらしい点であり、久留島喜内の天才的な手腕の見せどころである。
これから右に金鋸を引き、2九で折り返して、最後には『1七龍』と切り捨て、6七玉の位置で詰みになる。
金鋸の趣向の面白さを語り尽くした「絶局」である。

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