2013/10/29

妄想は続くのであります。  

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本日のカット・・・。



本日は、曇りの一日であります。
南天が色づいて来て、
秋はまた、ひとつ深くなるのです。


さて、さくらんぼの京都サスペンス第2話(笑)。

後、数日のお付き合いを賜りましたら、幸いです。


では・・・。


斜陽の駅   第ニ話 作/ スタッフK


私は、かばんの中から手帳を取り出して、
ペンを挟んでおいたページに目を向けた。
「やはり自分の影を追いかけているだけなのか」・・・。
そう書かれた走り書きの文字は、力なく、
ただペン先の戯れのような、でたらめな
曲線を帯びている。また深いため息がひとつ。


時雨のような、冷たい雨が
ときどき人の心にも降る。

仕事や家庭、学校のこと。
お金に困ること。健康のことなど、
思い悩んでいる最中は、
雨に打たれているというわけだ。

身をさす雨滴から守ってくれる傘は、
一体どこにあるのだろうか・・・。
とりとめもないことを思いながら、
しばらく手帳を眺めていた、そのとき、
どこから歩いて来たのか、一人の女性が
こちらに向って歩いて来た。

私は、手帳をしまい、無骨な仕草で
カバンを肩に下げ、立ち上がった。


そうして、できるだけ意識されないように、
女性が目の前に来るのを待った。

「あの、私ここが初めてなんですが、
 どこか泊まれるところご存じないでしょうか。」

その人は、歳の頃なら50代半ばくらいの
品のいい女性である。
こんな無人駅で見知らぬ男に声をかけられたのだから、
驚いたことだろうと思った。しかし、意外にも、
その表情は、つとめて平静である。
一瞬ぎくっとする間があいた。

「今日は、いい天気だこと。
  陽だまりが、ほら、そこにも・・・。
 あなた、もう自分の影を見つけたのかしら?」


そういうと、駅には入らずに、
今来た道の向こうへと歩いていってしまった。

一体、この人は何を言っているのだろう。
おかしいのか。私を知っているとでもいうのか。


まったく、一瞬の出来事とはいえ、
あきれるほど、動けなくなっていた自分に気づく。
そうして、次第に心がざわざわしてきた。

何か夢でも見ているのだろうか。
おかしいのは、私なのか。

また誰一人いない、ベンチに座り直した。





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