桜薫る 1.出会い

2010/8/4  16:10 | 投稿者: おるん

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注)本文中にある名称は実在の物・人・団体とはなんら関係ありません。
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 小説内には一部ウェブカレのイベントに近い箇所があります。
 小説内には一部ウェブカレのイベントの内容を引用した箇所があります。(ネタバレ注意)
 小説内の設定は必ずしもウェブカレ公式設定と同じではありません。
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◇◆◇1.出会い

夏休み明けに白薔薇学園高等学校に転校してきて二日目。
春に父の転勤が急に決まり、学校の手続きが間に合わず、四ヶ月程後になってしまった。

確か、ここの図書館、系列校の中では一番大きかったはず。
たまには何か本でも読もうかなぁ。
放課後、一人で図書館に向かう。新学期早々ということもあってか、人はまばらで静かだった。
ホントに広いなぁ…。何処に何があるのかわかんないや…。
ひとまず傍にあった書架に目を遣る。
あ、コレ良いかも…。
一冊の本が目に着いた。手にとってパラパラとページをめくる。
コレ借りよ。
そう思って書架の間から通路に出た。

ドンッ!

きゃっ!と小さい悲鳴をあげてしまった。
どうやら人にぶつかってしまったらしい。
「ご、ごめんなさい。」
「う…。いや、こちらこそすまない。」
謝ってくれた相手を見ると、少し背の高い、細身の男の子だった。
「大丈夫か?」
黒髪で眼鏡をかけて、いかにも優等生といったクールそうな彼。
「は、はい。」
「…。」
怒られる!と思った。
「君、見ない顔だな。」
「え?あぁ、私、昨日転校してきたんです。」
「なるほど。俺は草間薫(そうまかおる)という。この学園の生徒会長をしている。」
どこかで見たような、と思ったのは生徒会長さんだったからか…。始業式の朝礼で見たんだ。
「君、名前は?」
「2-Bの谷本桜といいます。」
「ふむ。覚えておこう。ところで、その本に興味があるのか?」
草間会長は眼鏡の蔓を人差し指で上げながら聞いてくる。
「え?はい。それが??」
「いや、その本を選ぶとは少々変わっているな。でも、なかなか面白いぞ。きっと為になると思う。」
「ふーん。。。」
「俺も本が好きなのでな。図書館で探したい本があれば聞いてくれたまえ。では、またな。」
そうなの?この本が?…カレーのレシピ本なのに。会長さん、この本も読んだのかなぁ?
…変な人。
これが彼の第一印象だった。


◇◆◇


本を借りて図書館から出た。昇降口に向かうために廊下を歩いていると、職員室の近くで綾川先生に声を掛けられた。綾川先生は担任だけど、すごく若くてカッコいい先生。ちょっと苦手な感じがする。
「あぁ、谷本さん。ちょうど良かった。」
「はい?」
「君に伝え忘れたことがあって。ちょっといいかな?」
「はい。」
先生の後ろについて歩く。どこに向かうんだろう?
「はい、どうぞ入って。」
案内されたのは国語準備室。言ってみれば、国語の授業用の資料などを置いている部屋のようだ。
「ここに掛けて。」
壁中本棚の狭い部屋の中にはスチールの事務机と椅子が二組。
先生が椅子一脚、私のほうに移動させた。そしてそのままカップを二つ手に取り、インスタントコーヒーを淹れはじめた。ポットのお湯で部屋にインスタントコーヒーの少し甘い匂いが広がる。
「どうぞ。」
私の前にインスタントコーヒーが差し出された。
お砂糖とミルクはここから好きな分入れてね、とシュガーとポーションが入った籠を指差した。
「…先生、お話って?」
「あぁ、そうでした。」
先生は持ってきたファイルを開いてなにやらプリントを取り出す。
「そうそう、これこれ。あなたにこの書類を渡すのを忘れていたんです。」
「??」
「緊急連絡票ですよ。家までの地図やご両親への緊急連絡用の電話番号なんかを書いてもらわないといけません。」
「あぁ、わかりました。記入して明日持ってきます。」
「お願いしますね。」
「それだけ、ですか?」
「あ、いやぁ…。折角ですから、コーヒー、嫌いじゃなければ飲んでいってくださいね。」
「はい、いただきます。」
熱いコーヒーを必死で冷ます。このまま飲んだら汗が噴き出すに違いない。
そんな私を見て、先生がふふっと笑う。
「あなたはかわいいですね。」
「なっ!?何を言うんですか!?」
「そのままの意味ですよ。深い意味はありません。」
「…。」
「谷本さん、前の学校は楽しかったですか?新しい学校に来て、不安に思うことはありませんか?」
冷ましたコーヒーを一口飲んで答える。
「ええ。前の学校は中学時代の友達もいたので。今回は中途半端な時期に転校することになったので、友達ができるかどうか、ちょっと心配です。」
「そうですか…。あ、でも、この学園の人達はみんないい人ばかりですから、すぐに仲良くなれますよ。」
「だといいですね。」
「何かあれば私に言ってくださいね。力になります。」
「ありがとうございます。」
コーヒーをグッと飲み干して、立ち上がる。
「先生、ご馳走様でした。あの、用事がなければこの辺で…。」
「そうですね。また、コーヒーを飲みにいらっしゃい。今度はドリップしてあげます。ではまた明日。」
「ありがとうございました。失礼します。」
先生はニッコリ微笑んで、部屋から送り出してくれた。
やっぱり、なんとなく苦手。かっこいいのに、なんでだろう?なんか見透かされているような感じがして怖い。


◇◆◇


さて、今度こそ帰ろう!そう思って階段を下りる。
もう少しで昇降口というところでまた声を掛けられた。
「あれー?谷本さんじゃない?今帰り?」
誰だろう?小首をかしげた。
「あぁ、もう酷いなぁ。ボク、キミと同じクラスの相葉駿。」
「あぁ、ごめんなさい。まだ覚えられなくて…。」
「仕方ないよね。ねぇ、もし暇なら体育館に来ない?」
彼は少し困った顔をした後に満面の笑みを浮かべた。
「??良いけど、どうして?」
「ボク、バスケやってるんだ。キミは何かクラブに入らないの?」
「そうねぇ。クラブか…、良いかもしれない。」
「じゃ、少しだけ見ていってよ。」
「うん。」
「こっちこっち。」
彼は、私の手を取ると、強引に引っ張っていった。
辿り着いた先は体育館。
「相葉ぁ、何途中で抜けてんだよ?」
クラブ仲間の生徒に怒られている。
「ごめんごめん。ほら、昨日うちのクラスに来た転校生。クラブ見学してもらおうと思ってさ。」
「お?マネージャ志望??」
「さあね、ボク達の頑張り次第じゃないですか?」
その場に居た男子達はうぉーっと叫び声を上げ、じゃあ早速と紅白戦を始めた。
「桜ちゃん、見ててね。」
相葉君は私の方を見てニッコリ、腕を上に上げながらそう言った。
体育館の隅に鞄を置いて、その横に座る。
一番ちっちゃい彼が一番よく動いてるかも。
あ、ボール回ってきた。あ、マーク三枚付いた。どうするかな?
あー!!!
彼はそこからシュートを打った。決まった!3ポイントだ。
彼がこっちを見て小さくガッツポーズをした。カワイイなぁ。
1クォーター見終わったところで、ちょっとため息。
するとそんな私に気付いた彼が気を遣ってくれた。
「桜ちゃん、もしかして、ちょっと退屈??」
「ううん、そうじゃないけど、ちょっと疲れてて…。ごめんね。」
「ごめん。無理矢理連れてきちゃったもんね。毎日クラブやってるから、気が向いたらいつでも来てね。」
「うん。ありがとう。今日は帰るね。」
「バイバーイ。」
「バイバイ。」
他の男子部員達もバイバーイと手を振ってくれた。なんか期待されてるよね?困ったな。たはは。

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1.出会い
2.夕立>
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2010/8/4  16:14

投稿者:おるん

別設定で書いてます。
mixi上で今も連載中です。
少しずつこっちにもUPしていきます。

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