IF 21.説教

2019/1/2  23:34 | 投稿者: おるん

------------------------------------------------------------
#この物語はフィクションであり、
登場する人物・施設・団体は実在のものとは何ら関係ありません。
------------------------------------------------------------

◆◇◆21.説教◆◇◆

「で?圭子サン?」
「…。」
「カナって源氏名やろなって思ってたけど。年齢も18より若いかもなって思ってたけど。」

強引に連れてこられたカラオケボックスの一室で向かい合って座っている。
信弘が煙草の煙をふかしながら、私の顔を見ている。

「…実際は何歳なん?親は知ってるん?」
「うるさいなー。どうでもいいやん、そんなこと。」
「良い訳あるか!
しかもその制服、桜泉やろ?ええとこのお嬢さんが何やってるん?
幼馴染の彼、アイツも上町か?心配させんなよ。
で、何歳?」
「15。」
「あちゃー。マジでガキンチョやんけ。親、俺と5歳くらいしか年変わらんのとちゃう?」
「45歳位やから、信弘よりは10歳くらいは年上と思うけど。」
「…それでも、お前と俺の歳の差より親との方が歳近いがな。」
「…。」
「何があったか知らんけど、まず、あのバイト辞めろ。
で、ちゃんと学校に行くこと。
あと、俺んち泊まるの禁止。」
「えー!」
「えーちゃうわ!!俺、お前の親に申し訳立たんやんけ!」
「えー!親関係ないやん!」
「あほ!お前も親になったらわかるわ!子供にどんだけ手ぇ掛かると思ってんねん!」
「…。」
「寂しいんやったら、土日は遊んだるわ。それで我慢しとき。」

信弘は言いたいことを言うと、仕事中やからと、さっさとカラオケボックスから出ていった。

何よ、急に大人ぶってさ。

一人でいても仕方ないので私もさっさとカラオケボックスから出る。
会計は既に信弘が済ませてくれていた。

くそー、大人すぎる。

◇◆◇

家まで帰ると、あっちゃんが待ち構えていた。

…更にお説教か。

「お帰り。帰って来おへんかと思った。」
「ただいま。あっちゃん、暇人やな。」

ついつい憎まれ口を叩いてしまう。

「なあ、あんなおっさんと本気か?」
「別に。只の遊び相手や。高校生よりかはお金持ってるし。」
「あのなぁ。」
「あっちゃん、関係ないやろ?何で構いに来るん?」
「…そうやな、関係ないな!でも、心配やからしゃあないやろ?」
「何が心配なん?体売ってないかどうか?」
「!!!」

パシッと乾いた音が響いた。
あっちゃんに叩かれた頬を押さえて睨む。

「あほ!お前、自分のこともっと大事にせえよ!」
「私みたいなん、どうでもいいやんか…」
「どうでもいいことあるか!俺は…!!」
「もう、ほっといてよ…、バカ新!」
「ほっとけるか、バカ圭子。」

フワッとあっちゃんが私を包み込むように抱き締めた。

あっちゃんの匂い。すごく久しぶり。
信弘の煙草の匂いとは違う。
あっちゃんの匂い、やっぱり好き。落ち着く。

クリックすると元のサイズで表示します

「新のバカ…!
悪いの私やのに、優しくなんかせんといてよ。嫌いやって言うてよ!」
「俺が悪かってん。
お前のこともっと大事にせなあかんかったのに、手ぇ離したらあかんかったのに、離したんは俺や。」
「やめて…、私もう…、あっちゃんの傍には居られへん…」
「なんで?」
「なんでって…私もう、綺麗な体じゃない…」
「そんなん、関係あるか。」
「…元々、あっちゃんとは上手くいくはずなかってん。
私なんかじゃ、あっちゃんとつりあわない。
あっちゃんのコト、諦められるようにって思って私…!」
「つりあうつりあわんって、どういうこと?俺、そんなん考えたこと無かったけど?」

あっちゃんは優しい声で諭すように話しかける。

「あっちゃんのそういうところ、大嫌い。」

もっと怒ってよ。なんで怒らへんの?
私だけ一人相撲でさ。恥ずかしいやんか。

「あっちゃんは、私の持ってないもの全部持ってて、眩しくって。
私が欲しいと思って頑張っても手に入らないものを全部持ってる。
私はずっとそれが羨ましくって。
それでも一緒に居るうちに気にならんようになるかなって思ってたけど、やっぱり無理やった!
私、あっちゃんと居ったら、一生僻んでばっかりになると思う!」
「…手に入らんものって………」
「もうわかったやろ?あっちゃん、私のこと、嫌いになってよ。忘れてよ。」
「……。」

私はあっちゃんのこと、嫌いになんかなれないから。
諦めたくて、自分でも分かっててバカなことして。

抱きしめられてる腕の中でもがいて、あっちゃんの体を押してすり抜けた。

「あっちゃんのバカ…。大嫌い。」

ホントに馬鹿なのは私。大嫌いなのも私自身。
ごめんね、あっちゃん。


-続く-

---
1.序章
20.鉢合わせ
22.プリティウーマン
0



コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ