クリスマス・キャロル

2013/2/10  1:41 | 投稿者: おるん

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◇◆◇クリスマス・キャロル

クリスマス・キャロルが流れ、デコレーションされたウィンドウと、イルミネーションが輝くツリーで賑やかな街。

なんとなく皆がそわそわしている空気。
クリスマスを家族や恋人と過ごすために家路を急いでいる人も多いのだろう。
中には周りの目などお構いなしな恋人達もいて、ついつい目で追ってしまう。

(いいなぁ…、私も彼氏が居たらなぁ…。)

彼氏…。居ないけど、それっぽい人は居る。
多分、彼も私のコトをそう思ってくれているに違いない。
でも、彼は忙しい人だから、今日も仕事。
普通なら休みの日なんだから、学校になんか行かなくても良いのに。
私を誘ってくれたら良かったのに。

駅前の広場のベンチに座って、小さな声でクリスマス・キャロルを口ずさみながら、ツリーとその前を横切る人々を眺める。
「♪ひとにはみめぐみ…」
しばらくすると、前から2人組の男がやってきて、私に声を掛けた。
「ねぇ君一人?一緒に飯でもどう?」
「えっ?えっ?ちょっ、私っ!」
強引に私の手を引いて立たせようとする。
「こんな時間にこんなところで、寂しいじゃん。俺達と楽しもうよ。」
「いやっ!結構です!」
「またまたー、彼氏も居ないんでしょ?」
「大きなお世話です!!離して!」
そろそろ周りの人がこちらに気付きだした頃、誰かが声を上げた。
「コホン!俺の彼女に触らないでもらおうか?」
2人組の後にその声の主が居る。
「ちぇっ、ホントにオトコが居たのかよ。」
そう言って2人組が去っていって、そこに残っていたのは草間君だった。

「…ありがとう。」
「全く、君というヤツは。こんなところで1人で居たら、ナンパされるに決まっているだろう?」
助けてくれて嬉しい。しかも一番会いたかった人に。
でも彼はすごく怒ってるみたい。
「そうだね…。ごめんね、迷惑掛けちゃって。あはは…、じゃあ、私帰るね!」
「お、おい!?…き、君は…。」
「??」
「俺が、『俺の彼女』と言ったこと、なんとも思わないのか?」
「え…あ………うん…。」
「そ、そうか。君を助けるためとはいえ、すまなかった。」
「ううん。ありがとうね。」

草間君の横をすり抜けて駅に向かって歩き出した。
「♪ひとにはみめぐみ…」
またさっきのキャロルを口ずさむ。
後から草間君が私を呼び止める。
「おい!」
「??」
「その歌、好きなのか?」
「うん…。」
「もし、君に時間があるならだが…、一緒にその歌を聞きに行かないか?教会でクリスマスミサをやっていたから。」
「う、うん。」
彼が私の手を取って歩き出した。

「寒いから、こうしていた方が暖かいだろう?」
そう言って彼が私の手を握ったまま、ポケットに手を突っ込んだ。
「そ、草間君!!」
「…俺がこうしたいんだ。」
彼は前を見たまま顔を真っ赤にしていた。
寒くて顔が赤いのもあるけど、多分物凄く照れてる。
「ふふっ。」
「ば、バカ!笑うな!」
「ふふふっ。私、草間君のコト、好きだよ!」
「〜〜っ!!なっ、…そ、そんなこと知っている!」
「…草間君は?」
「…言わなくても分かっているだろう?」
「えー?言ってくれなきゃわかんない。」
「バカ!……す、す…、ダメだ、言えない。」
「えーーーー。」
「…俺の負けだ。君には敵わない。」
そう言って、彼は私のおでこにキスをした。
「バカ…、そっちの方が恥ずかしいじゃない…。」
「また今度言ってやる。」

クリスマス・キャロルが流れ、デコレーションされたウィンドウと、イルミネーションが輝くツリーで賑やかな街。

今年、人生で初めて、その中を彼氏と一緒に歩いた。

-終-
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