十年後(桜薫る番外編) そのほかの人たち9

2011/8/24  23:59 | 投稿者: おるん

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◇◆◇そのほかの人たち9

食堂の外で草間君を相葉君に引き合わせる。
その時、視界の隅に人影が入り、食堂の裏に去っていくのが見えた。
追いかけて角を曲がったところで、その人物が誰だかわかった。

「ひかり!」
呼ばれた彼女がビクッと肩を震わせた。
「…っ!ひ、久しぶり。司さん。」
恐る恐る振り向いた彼女がそう挨拶をした。
「来てくれたんですね。」
「わ、私、忙しいんだから!駿がどうしてもって言うから付き添いで来てやっただけよ。」
うつむいて、泣きそうな声で叫ぶ。
「来てくれないかと思ってた。」
「…司さんこそ、自分の都合のいいときだけ、こうやって私を呼び寄せて、いい顔をするんでしょ?」
「ごめん。ひかり…。」
「わ、私はもう、あなたの彼女でも何でもないんだから!」
「…。」
「他の女と勝手にどこにでも行けばいいじゃない!」
最後の方は悲鳴に近い、か細い叫びだった。

◇◆◇

十年前、俺たちは確かに付き合っていた。
当時、彼女はまだ大学生だったから、そうそう毎日夜中に連れまわす訳にも行かなかった。
ひかりが居ない日は、奈月の居ない寂しさを紛らわすように酒を飲み歩いて居た頃に知り合った女達と繋がっていた。
恋人ができたにも関わらず、そうやって現実から逃げて惑う数人の女達と怠惰な関係を続けていた。

本当に愛したのは奈月だけだった。愛してくれたのは奈月だけだった。
正確に言うと、他人の愛し方、他人からの愛され方が分からなかった。
奈月だけが俺の本質を見てくれていたと思っていた。
奈月が居ない。キスなんて、セックスなんて、一時の快楽を得るだけで、誰としても同じだと。

ひかりがそのことを知ったのは、付き合い始めて半年くらいの頃だろうか。
彼女を傷つけ、泣かせた。
それでも惚れた弱みだったのか、求めれば応じてくれた。
「司さん!私だけを見てよ!こんなにもあなたの傍に居るのに!」
「あぁ、君だけだよ。」
「ウソばっかり!」
泣きじゃくる君を強引に犯したこともあった。
「ん…司さん…。好きなの…。」

彼女ももう子供ではなかったから、そういう関係でも一種の慣れと諦めでずるずると続いた。
彼女にも俺とは別の恋人が居た時期もあったし、俺にも別の恋人が居た時期があった。

◇◆◇

か細い叫び声をあげたひかりの腕を引いて抱きしめた。
「ひかり、彼氏は元気?」
「そっちこそ、彼女は元気?」
俺の腕の中にすっぽり納まって、胸に顔をうずめている。
「ん…、今、彼女って呼べる人は居ないんだ。」
「私も…。強いて言うなら、腐れ縁の司さんくらいだから。」
「そっか…。」
彼女を肩を掴んでそっと引き剥がして、潤んだ瞳を見つめた。
「…何よ?」
「ふふ、野暮ですね、お姫様。」
「…。」
「キスしても、いいかな?」
彼女はふふっと笑って、俺の首に腕を巻きつけ、熱烈なキスをした。
「んんっ!!!ぷはっ!ひかり!」
キスを終えると、彼女は俺からパッと離れた。
「私はもう、お姫様なんて言われる歳じゃないもんね!」
「…俺にとっては、君は永遠にお姫様だよ。」
「ばっかじゃないの?」
「そうですね……ほら、折角来たんですから、後輩達に挨拶の一つでもしてやってください。」
「仕方ないなー。綾川先生がそこまで頼むんなら一肌脱いであげますよー。」

そろそろ、宴もたけなわの頃。
彼女を食堂に案内し、集まっている同窓生達に紹介した。
「今日はもう一人スペシャルゲストが来ています。相葉駿君のお姉さんで相葉ひかりさんです。」
「こんにちは。相葉ひかりです。今日は弟に付いてきました。とんだ愚弟ですが、仲良くしてやってくださいね。仲良くしてくださった方には、もれなく私の占いを一回受けられます!」
きゃーっ女子達のと歓声が上がった。

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十年後1.約束の日
十年後そのほかの人たち
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2011/9/13  8:04

投稿者:おるん

>紫さん
ありがとうございます。
なんだかんだ言って、腐れ縁状態ですから、居心地は良いかとw
ひかりちゃんは今でも先生が好きですから。
先生次第かなぁ(^_^;)
次回最終回、ご都合主義で突っ走ります。
振り回される薫君が書きたかった!w

2011/9/10  11:05

投稿者:紫

そういうことだったのか・・・。
でも、今の感じを見ると、先生とバスケ姉、やり直してもいいんじゃないの?とも思うけど。
なかなか、恋愛は思い通りにはいきませんね。

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