城一夫「大江戸の色彩」(青幻舎)という本を読みました。
どこかのミュージアムショップで購入したのだと思います。
表紙自体が美しくて、思わず買ってしまったのだと思います。
ところが、思ったより堅い内容で、一度は途中でギブアップしてしまいました。
このたび、改めて挑戦し、読破できました。
江戸時代の江戸の文化と色彩の関係を多彩な角度から論じています。
年中行事、建物、服飾、絵画、陶磁器、吉原遊郭、歌舞伎などが取り上げられています。
度重なる贅沢禁止令のため、服飾に関しては派手な色使いが避けられました。
そうすると、役者や花魁を描いた絵画も地味な色使いになります。
帯にある四十八茶(しじゅうはっちゃ)や百鼠(ひゃくねずみ)が、江戸を代表するようです。
茶色が48種類、ねずみ色が100種類というのですから、非常に繊細な色の違いを認識して使い分けられていたことになります。
しかし、これが茶色?これがねすみ色?と不思議な感じがする色もあります。
緑っぽい色なのに茶色やねずみ色の仲間にされています。
一方、「藤鼠(ふじねずみ)」なんて、紫色に見えます。
江戸の民衆の粋なセンスは、私のような田舎者には理解できないよいうです。
カラー図版が豊富です。
巻末には、色見本も掲載されています。
江戸時代の色彩を真面目に勉強したい方には、大いに役立つ本ではないでしょうか?
でも、一般大衆にはちょっと難しい本でした。