父が脳梗塞になり、2月22日から1ヶ月間入院しました。
87歳になったばかりでした。
もともと認知症だったので、退院後はグループホームという施設に入所してもらいました。
年老いた母が介助するのは困難だからです。
父は、活字中毒でした。
蔵書は、自宅内に留まらず、会社の事務所にも山のようにありました。
それらを処分することにしました。
もう父が読むことはないからです。
片っ端から、ひもで縛っていきました。
今度の資源回収に出してしまうつもりです。
いや、これで全部ではありません。
書棚2本分以上、まだ物置の奥に残っています。
父は、「杉原千畝をたたえる会」や「西濃管工事協議会」といった会を立ち上げ、長く会長を務めていました。
口の悪い社員からは、「会長の趣味は『会長』」と陰口をたたかれていました。
それらの会専用の封筒だのイベントのチラシだのもたくさん残されていました。
本だけではなく、父が使っていた事務所内の2部屋にあったゴチャゴチャも整理しました。
父が片付け下手だったことがよくわかりました。
1枚のハガキが目に止まりました。
(えっ、司馬遼太郎!?)
なんと司馬遼太郎氏からのハガキがあったのです。
文面は、大変読みにくいのですが、産経新聞社の某部長から、「御著『流氷の海』が送られて参りました。」とあります。
(ウソだ! 父は本を出版したりしていない!)
ネットで調べると、「流氷の海」は相良俊輔という児童文学者の著書だそうです。
主人公は、樋口季一郎という旧日本軍の軍人です。
たしかに父は、杉原千畝とともに樋口季一郎の顕彰活動もしていましたが、相良氏とは別人です。
司馬遼太郎氏が故人となり、父が認知症となった今では、真相を探ることはできません。
