NHKアナウンス室編「『サバを読む』の『サバ』の正体 NHK気になることば」(新潮文庫)を読みました。
この本は、NHK総合テレビの番組「ことばおじさんの気になることば」(放送終了)をもとにしています。
NHKに寄せられた、ことばに関するさまざまな質問に答えていた番組です。
読み始めて、すぐ物足りなさを感じました。
いろいろな使い方や、語源の異説をあげているのですが、結論があいまいです。
「結局、何が正しいの?」と思ってしまいます。
しかし、「文庫版あとがき」によると、もともと黒白をつける意図はなかったのです。
・・・私は番組を引き受けるにあたって、一つの方針を立てた。それは基本的に、「これが正しい日本語」と断定しないこと。何故なら、NHKには況(ま)して私に、そんな権限はないし立場でもない。これだけが絶対に「正しい言葉」というものは無いのだが、存在するとすれば、それを決めるのは、日々「日本語」を使って暮らしている人々の中から形成されるべきものなのだ。そのための判断材料を提供することに徹したのである。・・・
そうです、きわめて控えめで紳士的な文体です。
(読んでいるうちに慣れてきました。)
とはいうものの、面白い指摘もあります。
「
正直なところこれらの言葉は
ある意味使わなくても済むわけで、
逆に耳障りです」。
「正直なところ」、「ある意味」、「逆に」は、どれも本来の意味を失ってただの前置き言葉になっているというのです。
いるいる、よく使う人!
なぜ、風邪は「ひく」のか、とか、ふだん何気なく使っていることばに関するあれやこれやが詰まっていて、面白かったです。
