昨日の日曜日、台風11号が日本列島を横断しました。
久しぶりに、当地の西側を通過したので、風が強かったですね。
そんななかでも、弊社のショールームは開店していました。
お客様が2組いらっしゃったそうです。
本当にありがたいことです。
私は、家にこもり、笹原宏之「訓読みのはなし 漢字文化と日本語」(角川ソフィア文庫)を読みました。
著者は、早稲田大学文学部で中国語学を学び、同大学院で日本語学を専攻しました。
まさに漢字のエキスパートです。
日中両国だけではなく、台湾、韓国、ベトナムの事情にも詳しいようです。
また、中国各地の方言にもたびたび言及しています。
厳密に言うと、「訓読み」は日本以外でも見られるようです。
しかし、このように広範囲、体系的に採用しているのは、日本語だけです。
本書では、訓読みの歴史、現状を多彩な事例をあげて網羅しています。
また、日本で発明された漢字である「国字」についてもあちこちで登場します。
少ないページ数に詰め込んだので、雑学本的なところもあります。
学術書ではなく、われわれ一般大衆向けに書かれたものです。
今年出版されたばかりですし、著者はまだ40代。
変わっていく日本語の現状の最前線まで、把握しています。
インターネットで飛び交う言葉や、ポップ音楽の歌詞まで言及しています。
こんな記述に感心しました。
「匂」という字を「艶」(エン・つや)という字とつなげ、熟字訓として「にじいろ」と読ませたのが、サザンオールスターズの「匂艶 THE NIGHT CLUB」(1982年)である。これは作詞者である桑田佳祐の発案によるものと考えられるが、その後、RUIこと柴咲コウの「月のしずく」という楽曲でも、この「匂艶」が歌詞の中で使用された。このほかにもいくつかの使用例が生じており、典拠を元にした本歌取りのような趣向が見出せる。
とか、「皿」という漢字について、
今日では、ウェブや携帯メール、ツイッターなどに、「コレ_皿_皿_(°−°)/皿_皿_皿 回転寿司」などとあるほか、さらに顔文字として「(`皿´)ウゼー」など象形文字が本来かたどった物とは別の物を表そうとする、二次的な象形文字としての使用がなされている。
三浦しをん「舟を編む」に登場する辞書編集者が言葉を採集する努力を思い浮かべました。
それにしても、この本を印刷した会社は、苦労したと思います。
通常、目にしない漢字がいくつも登場します。
今はもう、印刷工が活字拾いをしたりしないんでしょうか?
絶対に活字はないと思われる漢字がいくつも登場します。
また、古い漢字を比較するのですが、画数が多くて、どこが違うかさっぱりわからないものもあります。
漢字の世界に興味ある方にオススメします。
