今日、というか先ほど、竹下節子「キリスト教の真実 西洋近代をもたらした宗教思想」(ちくま新書)を読み終わりました。
先日、富山に行ったときに、駅前の本屋さんで買った本です。
なんと今朝の日本経済新聞「あとがきのあと」欄で、この本と著者が取り上げられていました。
読み始めたら、面食らいました。
む、むずかしい!
なんの注釈もなく、なんども出てくるフランスの「ライシテ」って何?
調べてみると、政教分離政策のことのようですが、知らなかった!
私には、教養が足りないようです。
これまで一般大衆向けの読みやすい本ばかり選んでいたことを自覚させられました。
それにしても、この著者、おそろしく博識です。
宗教、歴史、文化、政治などは言うに及ばず、医学や物理学までたとえに出して見せます。
経歴を見ると、東京大学教養学部教養学科卒、そのまま同大学院の比較文学比較文化専攻に進みました。
さらにパリ大学の博士課程、同高等研究所。
なるほど、教養のカタマリ、権化(ごんげ)のような人なんでしょうね。
高校生のころ、倫理社会という授業がありました。
社会科の中ではマイナー科目で、大学入試では選択しにくいものでした。
だから、気楽に先生の話を聞いていましたが、そのせいか、けっこう面白かったことを憶えています。
ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ストア派、エピクロス派、デカルト、ニーチェ、キェルケゴール、ルソー、マルクス、孔子、老荘思想などなど、古今東西の思想家の思想を一通り教わりました。
この本の前半は、ヨーロッパの思想史が主で、そういった流れを思い出させてくれました。
政治体制とキリスト教の関連については、アメリカ合衆国とフランスについての比較記述が多いようです。
ちなみに、著者は、フランス在住です。
アメリカについての興味深い記述。
・・・歴代の大統領の中で「神」を封印して、公教育の場から十字架や祈りなどのキリスト教シンボルを撤廃したのは、最初のカトリック大統領であったアイルランド系のケネディだった。
彼は、フランス型の政教分離を目指したそうです。
しかし、彼の暗殺後、その改革は後退しました。
ブッシュ大統領の「十字軍」発言などもありましたね。
この本は、キリスト教国以外の政治状況にも言及しています。
ダライラマがチベット亡命政権を民主化し、みずから元首であることを拒否したこと。
アラブの春が各国に及ぼした影響についても広く取り上げています。
こうした現代の状況を取り上げた後半は、読みやすいものでした。
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