28日、安倍首相は施政方針演説を行ったのですが、政権運営の好調を背に、1.28所信表明等に比べて、「安全が確認された原発の再稼働」や、TPP参加で安倍カラーをそろそろ打ち出し始めました。
憲法改正問題もその一つですで、国民的議論を巻起こすと言い、自民党内の改憲推進本部も初会合を開いています。しかし、安倍氏らタカ派グループのボルテージが上がるほど、この人達の無知蒙昧ぶりも浮立つのです。自民党が昨年4月発表した「日本国憲法改正法案」を見ると、欧米等の先進国が共有する理念である人権を保障するための立憲主義が頭から否定されており、憲法は国民の権利を制限するものとされています。人類が長い歴史を通じて獲得してきた成果を無視することで、日本は「違う国」と見なされます。
例えば、英国は17世紀の名誉革命で、外国から国王を迎えるに当り「権利章典」によってカトリック等の支配から国民の権利を明文化しました。フランスの人権宣言も血で血を洗う結果になった大革命を経た18世紀にブルボン朝ではない王朝と国民の間の和解として成立。米国の場合は、独立時の13州による合衆国政府との契約ですね。
では、このような先進国と「違う国」とは何か。ドイツの欽定憲法、中国ですね。英仏並みに憲法があった方がいいということで、皇帝が国民に与えた。間が悪いことに、自由民権運動が盛上がる日本でも憲法を作らないといけないということで見学にいった伊藤博文がこれをマネしたのが明治憲法です。
ドイツも日本も国民が主体の国じゃないから大失敗した。そんな災厄を繰返させないためには国家権力を縛らなくてはいけない。自民党はそこから勉強し直して欲しいものです。(写真:硫黄島の戦い、国の暴走を縛れるのは国民です)


1