パーツ集めにだいぶ時間を要しましたが、DTのシングルスピードハブにカーボンリム、ダイニーマDM20コードという、私の考えるなかで最も楽しみなパーツ構成でテンションデイスクを作ることができました。
ダイジェストになりますがここに書いておきたいと思います。
まずはパーツの一覧です。Parts List
1)ハブHub
今回はDT SWISS 240s(Center Lock,32H,Single Speed,142Thru-Axle)を使いました。フランジが欠けているジャンク品ですが、フランジを取り付けるので問題ありません。
2)リムRim
リムは29インチのカーボンリムとしました。
Carbon Rim(29",32H,Inner Width 28mm,Outer Width 35mm,Rim Height 28mm,Asymmetry,Hookless,Tubeless Ready)

前回のリムと同じ断面です。
カーボンリムを使う理由は、局所的な振れが出にくいと考えるからです。それと弾力が大きく、真円度のキープがよいと感じます。
今回のハブはシングルスピード用ということでおちょこ量はほとんど無いのですが、バルブ位置を真ん中にしたくないのであえて非対称リムを使います。(バルブ位置が真ん中だとテンションデイスクはコードが密集していてポンプの取り付けがしにくいのです。)
3)ニップルパーツ(parts for instead of nipples)
ニップルの代わりとなる部品です。以下のパーツから成ります。
a)M4×30mm Bolt(Stainless,Black Coat)
黒い表面仕上げのM4ステンレスボルトです。ボルト長さはテンションの巻き取りを考えて長めにしています。
b)POM Pipe(Inner Diameter 4mm,Outer Diameter 8mm ,Length 10mm,M4 Drilled)
POMはジュラコン樹脂というエンジニアリングプラスチックで、とても丈夫な素材です。この短いパイプは本来はプリント基盤の固定のスペーサーなどに使われるものですが、ちょうどよい寸法なので流用しました。パイプを横にして使うのでボルトが貫通するためのM4の穴をドリルしています。
c)M4 Nut(Aluminum)
ナットは少しでも軽くしたいのでアルミです。ボルトもアルミにしたいところですが300円/本くらいするので断念しました。
4)フランジとコード(special flanges and cords)
フランジは図面を描いてカーボン加工やさんに頼んで作ってもらったものです。
フランジの設計は、使用するハブのフランジ幅(右、左)に合わせて固定部分の内径と固定ボルト位置を決めます。外径はコードを通すクリアランスと、キャリパーなどとのクリアランスを考えて決めます。
フランジの板厚はたわまない程度の厚さ、またスプロケットやローターと干渉しない工夫が必要です。
以下は加工してもらったパーツを、さらにエッジを削って仕上げたときの写真です。こういう加工は頼むと高いので、自分でできるところはやってしまうのがいいですね。
砥石で削ります。
削ったところ。
削ったところはコードが擦れる位置です。エッジでコードが傷むのを防ぐために削りました。
コードはDyneema DM20という、現在もっとも伸びの小さい素材を入手することができました。線径は2mmを使います。
コードは大体の長さ(少し長め)にカットしてからフランジに通しておきます。
私が考えたフランジは片側 2枚ずつ使います。(板厚はt=2.5mm)
外側の1枚はハブフランジに固定します。もう1枚はスペーサーを入れて内側に位置します。この隙間にコードを通す形です。ひっかけタイプではないので走行中に外れるということがありません。
スペーサーはシングル用チェーンを分解した真ん中のコマを使います。シングル用にするのは2mmコードを通す幅が必要だからです。9s用とかだと薄いので苦労すると思います。
2枚のフランジとスペーサーはリベットで固定します。リベットは新潟工機製のリベットがバッチリでした。
5)ハブ取り付けパーツ
M4ボルトナットで固定しますので必要な長さのものを揃えます。ハブのスポーク穴もM4に拡孔しておきます。(以前はM2.6とかM3を試しましたが伸びたり緩んだりして不安定なのでM4にしました。)
組み立て(Assemble)
リムにニップルパーツ(M4ボルト、POMスペーサー、M4アルミナット)を取り付け、その後フランジのコードを通していきます。
フランジを中心に位置させるのは長さを測って少しずつ調整します。テンションがそれほどかかっていないため難しくないです。いっぽうでコードのテンションをどの程度にするかは経験というところですね。この状態だとフラットですが、ハブを取り付けると斜めになりテンションがかかります。
コードが緩すぎるとテンションボルトを使い切ってしまいます。張りすぎると反対側が取り付けできません。何度か組んだ経験から、組み上がりのテンションを想像しながら張り具合を調整します。
いよいよハブをフランジに固定します。こちら側のハブボディはボルト位置が斜めの部分になるので樹脂パーツを挟んでいます。
両側のフランジを固定するとコードにテンションがかかり、調整しにくくなります。コードの長さが偏っているところは足で踏みつけて緩ませ、少しずつ調整します。全体重を乗せても大丈夫なくらい、コードは強いです。
センターゲージを使ってホイールセンターを出します。今回はシングルスピードハブなので左右のテンション差が小さく、調整は比較的容易でした。
ニップルホールは厚さの異なるアルミテープ(薄/厚)での二枚重ねで封をします。私の考えた中では一番困らないチューブレス化の方法です。(どこかからエア漏れした場合に対策しやすいです。)
結び目はキラキラシールで留めてみました。ホイールの完成です。
タイヤを装着し、車輪として完成しました。なお初期振れなどでタイヤを脱着することも考えてしばらくはチューブドタイヤで使います。
KONA HONZOに搭載しました。いい感じに収まったと思います。
ディスクキャリパーとコードのクリアランスを考えるとフランジの位置はこれくらいが精一杯です。
出来上がったホイールはDM20コードのおかげで、これまでで一番しっかりしたホイールになりました。見た目も精悍な印象ですね。
今シーズンはこのホイールで存分に楽しみたいと思います。