何でもないことのすごさ(読書日記)  気のまま雑記

最近読んで心に残っている本の一つに、江國香織さんの「号泣する準備はできていた」がある。
直木賞を受賞した短編集なのだが、若い頃にはこの独特の「間」というか行間や文章にただよう雰囲気のよさがわからなかった。
もちろん、若い人でもこの本がいいなあと思う人はたくさんいるのだと思うが、私はその良さがわかるほど、素敵な女性ではなかったということだ。
今、この本を読んでいいなあと思うのは、私が素敵な女性になったからというわけではもちろんなく、無知で頭が悪く素敵でなかった自分の若いときのことが少しわかるようになったせいだと思う。
いうなれば、無知の知。
そうやなあ、ソクラテス。

江國香織さんの短編は、唐突に終わる。起承転結という言葉でいうなら、転がなく、起続続結。日常を生きている女性が日常をそのまま生きて、自分の生き方や考え方を曲げずにといっても肩肘張らずにそのまま生きていくのです。はい、おしまい〜。...そんな印象の短編。
「いらち」の私としては、「え?それがどうしたん?」という話が多かった。
今回読んだ「号泣する準備はできていた」の中の短編も、事件も起こらないし主人公の人生が大きく変わるわけでもない。相変わらず、「そうなんです、こうなんです、こうしているんです、はい、おしまい〜。」という日常を描いている短編なのだ。
「おしまい」のあとの「〜」を、今までは「それがどうしてん」と消化不良に感じていたガサツな私であるが、「〜」を余韻というのだとこの年齢になってやっと感じることができた。余韻のある優しい話。主人公のこれからの生き方や、本当の気持ちなどを想像し読者が創造できる、これが余韻なのだ。
余韻のある優しい話。
そう例えば、雨の音を聞きながら眠りにつくときのようないい気持ちになれる。それが江國香織さんの本だ。

例えば、この本に入っていた短編で「こまつま」というのがある。
夫に「こまつま」と呼ばれている主婦がいる。こまねずみのようによく動く妻の意味での自分にとって誇らしい呼称。「こまつま」である自分はデパートに行って、夫のパジャマと息子の靴下を買い、荷物を預けて、階上の洋食屋でサンドイッチと紅茶を昼食にとる。エレベーターホールに座って休んでいる年老いた女性には極力目を向けないようにしている。
サンドイッチを食べたら、明日の子どものお弁当のためにクリームコロッケをお持ち帰りにして持って帰るのだ。タクシーに乗って帰るのだ。とそれだけが書かれているのだが、妙に印象に残る話だ。
本当はこの女性は孤独なのではないかとか、孤独であるがゆえに自分の未来の姿と重ねてしまうエレベーターホールで座り込むおばあちゃんを見ないようにしているのではないかとか、家族のものを買う自分を誇らしく思っているこの女性の家庭内での本当の立場などを想像し、なんだか忘れられない話になってしまう。
たいしたことない話なのに、なんでもない話なのに、印象に残って忘れられない短編。それが書ける江國香織さんてすごいぞ。
この人、そしてめっちゃ美人。
「〜」で読者をひきつけて離さないすごい作家だ。


3月から最近にかけて読んだ本、書きとめておく。






female 小池真理子、他
あぽやん 新野剛志
不抜けども、悲しみの愛を見せろ 本谷有希子
看護婦がみた人間が死ぬということ 
モンスターマザー
神様はいますか 田口ランディ
皆月 花村萬月
永遠の朝の暗闇 岩井志麻子
客室乗務員の内緒話
みずうみ よしもとばなな
今夜誰のとなりで眠る 唯川恵
眠れぬ真珠 石田衣良
おんなのるつぼ 群ようこ
オーデュポンの祈り 伊坂幸太郎
しゃぼん玉 乃南アサ
十年不倫 衿野未矢
クラッシュ 佐野真一
反自殺クラブ IWGPD 石田衣良
灰色のピーターパンIWGPE 石田衣良
象の背中 秋元康
あすなろ白書 柴門ふみ
夜啼きの森 岩井志麻子
天井男の奇想 折原一
がんからはじまる 岸本葉子
40でがんになってから 岸本葉子
号泣する準備はできていた 江國香織
白蛇教異端審問 桐野夏生
約束 石田衣良
はつ恋 よしもとばなな
こわれる日本人 柳田邦男
ナラタージュ 島本理生
アジ玉
赤い糸


6月になってからは、ずっと週刊誌を読みふけっている。
雑誌は雑誌でめちゃ楽しい。
 
1



2009/6/17  9:19

投稿者:あひる

★kikiさん
「恋」は、直木賞とったんだよね?確かね。あれはいいですよねえ。
江國さんの「号泣する準備はできていた」も直木賞とったやつですが、読みますか?


http://happy.ap.teacup.com/kinomamanz/

2009/6/17  8:51

投稿者:KiKi

わ!
私も「恋」大好きです。
号泣でした。

2009/6/17  7:39

投稿者:あひる

★ボンズール
ボンズも本よく読んでるよねー。
ボンズに教えてもらった今野敏さんは、はまりました。また読みたくなりましたよ、あの一風かわった刑事がでてくる警察小説。おもしろいわあ。
で、伊坂幸太郎さん。
結構、重い題材を扱っているのに、書き方がユーモラスで知らず知らずに読み進んでしまうよね。オーデユポンおもしろかったんですが、案山子がでてく独特の不思議さにちょっとなじめなかった私。ゴールデンスランバーも読んでみますね。

http://happy.ap.teacup.com/kinomamanz/

2009/6/17  7:34

投稿者:あひる

★Rooさん
小池真理子さんの小説はせつないですよね。
「恋」大好きです。
そしてあのお方、文章うまいですよね。難しい言葉を使わずに、心の琴線を振るわせる技。


http://happy.ap.teacup.com/kinomamanz/

2009/6/17  7:33

投稿者:あひる

★雅ハハさん
江國さんの本を手にとると雅ハハさんを思い出すのです。だって、名前が似てるから。
妹さんとの手紙の交換、なんていう本ですか?私も読んでみたいです。よしもとばななさんの私生活を書いたよしもとばななどっとこむは、あまり好きじゃなかったんだけど。
山田詠美さんのポンちゃんシリーズは大好きです。

http://happy.ap.teacup.com/kinomamanz/

2009/6/17  7:30

投稿者:あひる

★kikiさん
本のお話、ビッグダディの話、石田さんちの話ね。ふふふ。
本の話ができる友達が身近にいて、とっても幸せです。
本だけでなくあほな話もできるしー。

http://happy.ap.teacup.com/kinomamanz/

2009/6/17  7:16

投稿者:あひる

★すなぴょんさん
すなぴょんさんならわかっていただけると思ってました!
こんどはすなぴょんさん、いってくださいまし!後に続きますヨン、私も!

http://happy.ap.teacup.com/kinomamanz/

2009/6/16  18:04

投稿者:ボンズ

漢字間違えました。伊坂幸太郎でした。
ついでにオーデュポンの祈りから読むのが大切な理由のひとつを。登場人物がこっそり出てきます。案山子とか。

2009/6/12  14:11

投稿者:ボンズ

ボンズール、おっしゃる意味わかります。僕もまさに同じ境地に立ったところです。この本を20代の頃に読んでも面白さはわからんかったやろうなぁと。それは自分が賢くなったとか素敵になったとかではなく経験や日常生活から得た感性とでも言えばいいでしょうか?つまり同じ本を読んでもその時の立場や感情で面白くもあり、そうでもないことが起こるんですよね。そういう意味では井坂幸太郎の作品は現在の僕の琴線に触れまくるんですが。オーデュポンの祈りいかがでしたか?彼の作品はほぼコンプリートなんですが、オーデュポンの評価は難しいんですよね。彼の第一弾作品なんで必ず読んで欲しいんですが。次の作品もぜひ読んでください。最近ゴールデンスランバーを読みましたが最高でした。

2009/6/11  22:34

投稿者:Roo

すごい量ですね〜。
色んなジャンルがあるのも良いなぁ。

小池真理子さん、読んでて時々悲しくなるんですよねぇ。
感情移入し過ぎかな。

よしもとばななさんも久しく読んでないなぁ。
来月になったら一段落するから私も読書の時間を取りたいと思います。

http://blue.ap.teacup.com/kiwi

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