「私は、お酒のあやまちというものを認めない。酔って失策を犯した人が、後日、あの時は酔っていて何も覚えていないので、と言い訳じみた電話をして来たりすると、そうですか、私は一部始終を正確に覚えているので、ここで正確に描写してさし上げましょう、と意地悪をして、彼、あるいは彼女を奈落のそこにつき落とす。お酒を飲んで酔うと、その人の隠れた本性が現れると思っているので、そんな自分を、まるで嘘のように言うなんてずるいじゃないかと思う。素面の自分も本物だし、酔った自分も本物だと思うべきだ。……」
山田詠美「Amy Says」-お猿さんか人間さまか
酔って醜態をさらした経験は、[自分が認める範囲で]4年前の一回きり。
翌日記憶が破片のように一部しか残ってなく、一部本当に憶えてなかった。
あれから誰といくら飲んだって、常に限界内に収めることを覚えた。
そのお陰で、いつどこで飲んでも記憶喪失にはなったことない。
素面の時は大人ぶって、勇気がなくって言えないこと、出来ないことも、
お酒飲んだ勢いで、言えたり出来たりすることは度々あるけど、
その全て、一部始終をわたしは未だに正確に覚えている。
一部始終憶えていても、何もかも忘れたふりをするのが大人かも知れない。
それが正しいのなら、忘れるべきことを憶えているわたしの方がいけない?


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