オーストリアの首都、音楽の都ウィーンには緑が溢れていた。
ウィーン中心部をとり囲む環状道路リンクには路面電車が走っている。山の手線のようにぐるぐる回っているので、観光には便利だが今回は乗る機会が無くて残念。
でもリンクには歩道と自転車道もあるので、それぞれを気にすることなく散策が楽しめる。そのゆったりとした景観は、音楽の都ウィーンにふさわしかった。
市民の憩いの場の市立公園には、数多くの音楽家たちの像があるが、今回出会えたのはヨハン・シュトラウス像のみ。花々に囲まれたシュトラウスのバイオリンからは、今にもワルツの音が聞こえてきそうだ。
ハプスブルグ家の夏の離宮シェーンブルン宮殿は、黄色に塗られた外壁が印象的だった。
この色は、マリー・アントワネットの母で、16人の子を産んだ女帝マリア・テレジアが好んだという。宮殿の周りには、ブダペストと同じ街路樹のマロニエが美しく咲き誇っている。
ベルサイユ宮殿を意識して築城されたというだけあり、立派なシャンデリアや、金箔がふんだんに使われた内装はかなり豪華で、時の権力者の力の大きさを思い知らされる。
なかでも中国や日本の漆塗りの家具・伊万里焼の壷などが目をひいたが、内部は全て撮影禁止だ。
また部屋全体に漆が施されている“漆の間”も素晴らしかった。保存状態が良いのか、随時修復をしているのか、他の部屋と共に全く古さを感じさせない。
だからだろうか。この部屋はいつ作られたの?いったいどこ(国)の職人さんの仕事?どういういきさつで?と興味は尽きなかった。
シェーン・ブルン宮殿から、ウィーンの森を経てリンクに戻り、夕食までは自由行動だ。土曜日で渋滞が無く移動が順調で日本とは逆現象・・・。
とにかく予定外の自由時間なので嬉しい!1時間半ほどを有効にと思い、近くの王宮庭園に行ってみることにした。
数々の王宮が点在する敷地内の広々とした芝生やベンチには、人々がくつろいでいて楽しそうに遊んでいる子どもたちの姿も。そんな風景を撮ろうとカメラを向けた先に、大人びた表情の少女が見えたので思わずパチリ!
少し足を延ばしたので、王宮に隣接する2つの博物館の間のマリア・テレジア像は見つかったが、何故か庭園内のモーツァルト像には出会えなかった。広大な敷地だから仕方がないかもしれない。
それにしても、目に飛び込んでくる風景全てが美しく被写体にはこと欠かない。だがその感動を・・・となると・・・写真って本当に難しい。
夜はモーツァルトコンサートだ。
それもウィーンフィルの本拠地「楽友会館」で!
こちらに来てからそのことを知らされ、夢のよう!と楽しみにしていたのに、余りにも心地よい音色だったからだろうか・・・それともモーツァルトの癒し効果のせいだろうか・・・一気に眠りの世界へ誘われて、夢うつつの贅沢な時間を過ごした。
そういえば、オーストリアへの入国はあっけなかった。
居眠りをしていたのだろうか?はっきりとした記憶はないけれど「オーストリアへ入りましたよ」と、添乗員さんの声が聞こえたような気がする。
とにかくパスポートを出さなかったのは確かだ。
国境越えの基準は、きちんと決められているのかと思っていたので、その時によって対応が違うことが意外だった。