夜明け前に降りはじめた雨が止み、まるで打ち水をしたかのような清々しい山内に陽が射し始めました。
日中は暑さが一段と厳しくなりましたが、緑に覆われた信貴山は美しく、夏ならではの景色です。
老若男女の方たちが、団体で、個人で、近くの方や遠方からと、きっと毎年訪れている方もいるのでしょう。
「ノミ入れ式は毎年あるのですか?」というご質問に、趣旨を説明すると偶然のご縁を喜んでくれました。
お揃いでお越しいただいた大本山成福院様。
ご長老様と奥様にもノミを入れていただきました。
梅雨まっただ中のこの時期ということもあるのか、大祭は例年雨とのこと。
「不思議なことに本堂での御祈祷が始まると雨が止みます」との、成福院貫主の鈴木貴晶師のお言葉が印象的でした。
今回のノミ入れ式について、信貴山では山内に独自のポスターを貼りチラシを置くなどご協力をいただいたおかげで、多くの方々にあゆみ観音さまとご縁をもっていただきました。
「ポスターを見て友達を誘いました。今晩は自宅に泊まってもらいます」「完成したあゆみ観音さまにも会いに来ます」などなど、いつもの事ですがこういう一言は何より力になります。
ますます立体的になられた“あゆみ観音さま”
これまでに20ヵ寺近くでノミ入れ式を行わせていただきました。
多くの方々と、多くの寺院でのそれぞれの御本尊のお力をお借りして誕生する“あゆみ観音さま”には、きっと大きな力が備わるにちがいありません。
そんな想いを込めて、午後3寺30分より「あゆみ観音完成祈願法要」が執り行われ、毘沙門天王御出現大祭でのノミ入れ式が終了しました。
実は、不思議なことがもう一つ。
ノミ入れ式後片付けが終わる直前に、天候が急変しまさかの大雨になりました。
今まで毘沙門天王様が結界を張って守ってくれていたのかもしれない・・・とスタッフ一同納得。数々の感動と不思議を胸に霊地信貴山を後にしました。
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幻想的な信貴山朝護孫子寺山内に足を踏み入れたとたん、やはり心に安らぎを感じたのは何故でしょう。
信貴山には10年ほど前の秋、夫と初めて訪れました。
友人である仏師の渡邊勢山さんが、大本山成福院に秘仏の弁天様を始めとした数多くの仏像をお納めしていて、奈良旅行の時には是非にといわれていたからです。
紅葉の美しさはもちろんでしたが、夜になり数多い石灯籠に明かりが灯るさまや、早朝の本堂での祈祷などが印象的で、初めての宿坊体験だったのになんともいえない落ち着き感だったことが忘れられません。
そんな思い出の地であゆみ観音さまのお手伝いができたこと、これもご縁なのだな〜とつくづく。
これからも自分にできることを自分なりにと、そんなことを思いました。