参道の石灯籠に灯がともり、足元にはろうそくが揺れています。
山上には明かりが灯った信貴山朝護孫子寺本堂がそびえたち、そのさまは何ともいえず幻想的でした。
1400年余前この山で、聖徳太子が物部守屋討伐の戦勝祈願をされ、毘沙門天王のご出現により必勝の秘法を授けられたのが寅年、寅の日、寅の刻。後に太子自ら天王の御尊像を刻まれ伽藍を創建して信ずべき山尊ぶべき山「信貴山」と名づけられたそうです。
以来信貴山の毘沙門天王は寅に縁のある神として信仰され、毎年7月2日の夜半から3日未明(寅の刻)にかけて毘沙門天王御出現大祭・徹夜詣りが行われています。
2013年はこの大祭にあゆみ観音さまが特別参加!
山内の“飛倉”でノミ入れ式をさせていただきました。
7月2日22時から3日5時までと夜通しのノミ入れ式は、あゆみ観音さまも初めてのこと。スタッフ共々どういう流れになるのか・・・少しいつもと違う雰囲気です。
あゆみ観音ノミ入れ式会場の“飛倉”は、国宝信貴山縁起絵巻に登場する飛倉(とびくら)に由来しており、かつては宝物館として使われていた蔵造りの荘厳な建物で、本堂に向かう参道に面しているので、多くの方々が立ち寄って下さいました。
やはり大祭の日。
白衣や袈裟を身に着け念珠を手にした方や行者姿の方もみられ、多くの僧侶の方々にもノミを入れていただきました。
「東大寺・唐招提寺のノミ入れ式にも行きましたよ!」と声をかけて頂いたり、留守番をしている家族の分もノミを入れて下さったり。
あゆみ観音さまを抱きしめたり握手をしたりと、参加者はそれぞれの想いを表現していました。
かすかにほら貝の音が聞こえたので慌てて外へ出ると、行者姿の方を先頭にして松明がかかげられ、僧侶や巫女さんなどに続く千手院さん御一行の行列でした。
信貴山にはご本堂“朝護孫子寺”の他、成福院・玉蔵院・千手院の3寺があり宿坊を兼ねています。
聞くところによると、各寺院でお籠りをしつつ時を待ち本堂で祈祷を行うとのことで、それぞれの寺院で行われる大祭行事には特色があるようです。
もう少し自由な時間があったら色々体験してみたかったな〜と、いつものことですが想いは残ります。
静寂な山内に、時折大般若祈祷の読経や太鼓が鳴り響き、厳粛かつ壮大でまるで異次元の空間にタイムスリップしたかのようです。
ノミ入れ撮影の合間に夜の山内風景を撮りにと走り回っていたら、あっという間に時が過ぎて眠気が押し寄せてくる暇はありませんでした。
久しぶりの、いえ、もしかしたら初めての完全徹夜だったかもしれません。
疲れよりも、むしろエネルギー補給がされたような気がするのは、こういう機会を与えてくれたあゆみ観音さまのおかげなのだと思います。
他のスタッフの皆さんも元気いっぱいの様子。
皆同じ思いだったのかもしれません。
早朝5時にいったん終了したノミ入れ式は、10時から再開します。