2007/3/22

思い出のライン4 ダイヤモンドスラブ(1級?)豊田大給城址  おきよの思い出のライン

私は全く宝石には興味が無い。
しかしここ豊田には、ひと目見ただけで私を虜にしたとても美しい宝石があった。
それはダイヤモンドスラブ。
このエリアに来た者は、この岩のラインの美しさに惹きつけられ、必ず足を止め見上げるだろう。
2007年2月。
私は以前から、この5,6m程もある巨石を、ビビリという情けない心の部屋の片隅からただただ遠目に眺めていた。登りたいけど登りたくない。恐い恐い恐い、、、、。
実は私の足首はウンチングスタイルも出来ない程硬く、常時スメアを駆使するスラブには根っから苦手意識があり、何時手足が滑るか分からない、あの腰周りがゾワゾワする感覚に長時間耐えていられる自信が無い。これだけ高さがあれば、その我慢比べが長期戦になるのは目に見えていた。
しかし、「やっぱりこの美しいラインは登りたい。」そう強く思った瞬間私のトライは始まった。

クリックすると元のサイズで表示します

二月にしては暖かく陽射しの強い日だった。岩はモッタリと温く手を当てるだけで指先にキラキラと汗がにじんできた。しかし空気はとても乾燥しているようだ。
このラインの核心部は、足下4m程の位置で、何時ホロリと外れるかも知れない小豆位の大きさの結晶にハイステップで乗り込む最後のムーブ。
そして、何時足が滑り落ちるか分からないそのムーブをビビらずにこなさなければリップには手が届かない。
しかし守りに入ってしまっている私は、その手前を行ったり来たりしていた。
一線を越えなければいけない。でも恐い・・・。
そうこうしてるうちに、一緒にセッションしていたツジャンが、下部のムーブを決め、上へと簡単に抜けていった。
彼の精神面の強さには常々驚かされる。
その後姿から勇気を貰った。一線を越えるぞ!自分を超えるぞ!
慎重に下部をこなし核心部へ。
結晶に左足を上げた瞬間、私を取り巻く空間は、無風無音となり、ただ、自分の高ぶる気持ちを抑えようとする荒い息使いだけが聞こえていた。
ホールドをしっかりカチり左足にジワジワ体重をかけていく。
もう上に抜ける事しか頭に無い。
めいっぱい立ち上がり右足を広げてバランスをとり左手をリップめがけてスッと出した。
パシ!あらあーーーーーーーーーーー
長い長い滞空時間を感じながらマットの上へ着地した。
ビビリながらリップをとりにいった為、体が岩からはがれて失敗してしまった。
あんなに高くから飛び下りたので、周りにいた人はドキッとした様だが、自分の中では全く恐さは無かった。
そのトライのおかげで落ちる恐怖心が全く無くなり、「次のトライで絶対にいける!」と確信した。
そして小休憩を挟んだ直後のトライで、私は、ここ豊田に輝く素晴らしく美しいダイヤモンドを手に入れる事が出来た。
登ってしばらくすると、夕陽が祝福してくれているかの様に、岩も人間も皆燃えるような橙色に染めた。
「ありがとう」

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ