「あなたにとっての「昔からある場所」はどこですか?」
音楽(懐かしい曲、気になる曲、楽器)
あなたにとっての
「昔からある場所」はどこですか?
「昔からある場所」という曲ご存じでしょうか?
小林武史・AKKO夫妻によるバンド
「MY LITTLE LOVER」の3rdシングルとして1995年8月発売。ドラマ「終わらない夏」の主題歌にも使われ、当時大ヒットしました。
自分の回想を交えて、
青春時代の「淡い恋心」を歌ったバラードです。下にアップしているので、聞いてみてください。
「JuJu」が歌っています。
「昔からある場所」とは、出会いの場所、別れの場所であり、それゆえ思い出深い場所なのかもしれません。
僕は、この曲を聞いて、ある記憶がよみがえってきました。それは、日頃は心の襞の奥に眠っているが、何かのはずみで表に顔を出す「懐かしい記憶」との再会でした。
大学時代に金沢の女性と交際していたことがあります。僕は金沢に行き、彼女も何度か神戸に来ました。
ある夏のこと、僕が金沢を訪ねた時、
「内灘」という日本海に面した砂丘に行きました。金沢から内灘まで私鉄に乗り、駅を降りて少し歩くと、目の前に広大な砂丘が広がっていました。
内灘砂丘は、鳥取砂丘のような観光スポットではないので、思索にふけるにはもってこいの場所です。
内灘砂丘は、1950年代の前半、米軍の試射場建設をめぐって、全国的な反対闘争の舞台となったところです。結局、1957年に米軍の計画が取りやめとなり、運動は終息しました。
五木寛之の小説「内灘夫人」も、この内灘闘争で知り合った男女の、その後の人生を描いた物語です。
単行本の値段が450円の時代でした。
僕たちは、広大な砂丘の上を手をつないで歩きました。砂丘には所々にコンクリート造りの塹壕のようなものがあり、そこに腰かけて、ギターでフォークソングを弾きながら一緒に歌いました。
内灘海岸の「着弾地観測棟」遺跡
あたりに人影はほとんどなく、ただ、日本海の荒波が寄せては引き、寄せては引きしていました。今でもあの浜辺のことをよく覚えています。
でも、その後、しばらくして、何となく・・・別れの時が来ました。それは、どちらからともなく、自然に終わりを迎えたように思います。振ったわけでも振られけでもない。
どちらも10代でまだ若かったから。
その娘(こ)の顔立ち、特に笑顔は脳裏に焼き付いています。女友達から
「たまちゃん」と呼ばれていましたが、どこか
「猫」のような雰囲気をそなえた女の子でした。
誰もが、心の中に、僕が語ったような懐かしい思い出を持っており、時の経過とともに、「昔からある場所」として、その人の一部分になってくるような気がしています。


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