今月のテーマ 

2009/6/4

息苦しさと不整脈  臨床レポート

前回と前々回、に「肺血栓梗塞症」と「肺性心」について説明してきました。
今日は、この患者さんの臨床レポートです。

この患者さんは、長年大病院で総婦長を務めてこられた78歳の女性です。

56歳に腰痛に悩み、椎間板ヘルニアの手術をされています。おそらく、脊柱管狭窄症も併発されていたと思われます。

手術後しばらくは腰痛は軽減していたのですが、4年前に自転車に乗っているところを車にはね飛ばされて頚部と下腿を損傷、腰痛も再発します。

そして、3年前に「肺血栓梗塞症」と「肺性心」が発病したのですが、何とか命は取り留めて今日に至るそうです。

少し話すとすぐに息が苦しくなり、しばらく細かい呼吸で息を整えてからまた話し出すというような状態で、問診もなかなか進みません。

また、呼吸が苦しいのか、頭が膝に付きそうなくらい丸まってきます。身体を反らすと、背中が痛いのだそうです。これでは上手く呼吸が出来るはずがありません。

日常生活では、腰が痛く、足がなかなか前に出ません。また、少し歩くとすぐに息が切れてしまい、立ち止まって息を整えてから、再び歩き出すというような状態だそうです。

手技療法では、直接的には「肺血栓梗塞症」や「肺性心」に対して治療できないことを、お話しさせていただいてから、身体全体の調整をしてみることにしました。

まず身体の状態を診てみると、骨盤が左にしか振れなくなっていました。また、股関節は右と左で可動範囲が違うため、左右同じ動きが出来ないようです。胸郭は右は勿論、左もほとんど可動性がありません。これでは呼吸も上手くできないでしょう。上肢も挙上の可動がかなり制限されています。

早速、骨盤の歪みの原因の一つと思われる右の下腿(ふくらはぎ)の捻れを緩めていきます。大腿(太もも)の筋肉の歪みや股関節の可動制限も緩めていきます。

つぎに、骨盤の右への可動性を確保するための手技を用いながら、同時に胸郭の動きの制限を緩めていきます。
呼吸似合わせて、胸郭の可動制限が起こっている部位を見つけながら、どんどん緩めていきます。

はじめは、頭が膝に付きそうな位に丸まっていたのが、かなり起こせるようになってきましたが、首が上を向けられないようです。最後に、僧帽筋(首の後ろから背中にかけての広く大きな筋肉)の可動性を上げる手技をして、初回は終わりにします。


2回目からも同様に、少しずつ体の歪みを整え、各関節の可動性を上げ、筋肉がうまく働くように治療を進めていく様にしたところ、3回目に来院されたときには、息も切れずに経過を報告され、なんと不整脈も全く出なくなったと喜んでお話しくださいました。


5回目を過ぎた頃から、咳がほとんど出なくなったと報告してくださいました。また、腰や足もあまり疲れにくくなり、少しずつ長く歩くことが出来るようになってきたとのことです。


現在は栄養素(オーソ20)も摂り始めて、徐々にですが全体的に身体の調子が上がってきている事を実感されているようです。

右の肺が萎縮してほとんど機能していないこの様なケースでも、手技療法を上手く用いることで身体の各部の可動性を改善することが出来ると、その結果として内臓の機能の低下を少しでも正常な状態に近づけることが出来る事もあると思われます。


手技療法の可能性はこれからもまだまだ広がっていくと私は思っています。
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