2015/8/23

ネット社会が露にしたもの  はなこのMEMO

 ネット社会が図らずも露(あらわ)にしたもの。

 そのひとつが、「異なる価値観を持った者同士の越えがたい壁」なんだろうな。

 最近、起きた中一生殺害事件を巡る、ヤフーニュースのコメント欄を見ていると、「深夜徘徊を許した親にも責任があるのでは?」と言う意見に対し、「被害者遺族対する非難は、傷口に塩を塗るような配慮を欠くもの」と言う反論が出て、その後は両者で非難の応酬が続き、互いに歩み寄ることもなく、意見は平行線のままである。

 両者共に、「最も悪いのは犯人」と言う点では一致を見ているにも関わらずだ。

 細かな対立点はここでは割愛するが、結局、

児童生徒の深夜徘徊に対する許容度(反抗期だから、そんなこともある〜親の保護責任として絶対に許してはならない)

深夜徘徊と今回の事件との因果関係(今回早朝から日中に被害に遭ったのだから、深夜徘徊そのものが原因ではない〜深夜徘徊を許す家庭環境が結果的に今回の事件を誘発した)

 に関して、両者には考え方に大きな隔たりがあると思われる。

 例えば、東日本と西日本、首都圏と地方圏、関東圏と関西圏、また各地方、さらに同じ自治体内でも、山の手や下町、戸建て住宅街と集合住宅街、商業地と住宅地、文教地区とそれ以外の地域など、居住地域により住民の所得階層や職業分布やコミュニティの在り方は大きく異なり、それらの違いが様々な差異をもたらすはずだ。さらに各々の家庭でも、今回のケースで言えば、それぞれの教育観には大きな違いが見られるはずだ。

 それぞれが、それぞれの価値観を是として生きて来ただけに、その価値観に基づいて今回の事件も見ている。従って、事件のどの部分に着眼するか、事件から何を感じ、考えるかも、その人がどのような母集団に帰属するか、どのような家庭環境で育って来たかで、異なるのは当然と言える。

 そういう観点から、自分と異なった意見を受け留めないと、対立を生むだけだと思う。

 今のような個人主義の時代、ひとくちに日本人と言っても、こと個人の生き方に関しては、価値観が同じとは限らないのだ。互いに歩み寄って、同じ価値観を共有できるとも限らない(これはこれで意見の対立や齟齬などもあって大変だとは思うが、個人の自由を一切許さない全体主義よりはマシだと思う)

 インターネットがなかった時代には、これほどまでに、異なった価値観の人々が、ひとつの場所で、ひとつの事柄について、意見を交換する場も機会もなかっただろう。結局、ネット上でしばしば見られる意見の対立は、従来なら殆ど交わることのなかった人々が、匿名性に後押しされる形で一堂に会したことによる摩擦なのだろう。

 それで堂々巡りの対立を続けても、不毛なだけだと思う。

 世の中には様々な価値観がある。自分とは異なった価値観のもとで生きている人が、こんなにも大勢いると知っただけで十分ではないか?他人の価値観を受け入れるということは、それまでの自分の生き方を否定することにも繋がり、人間のちっぽけな自尊心は、それを許さないのだ。結局、人は見たいものしか見ないし、信じたいものしか信じない。故に現実世界では、価値観を共有できる者同士、似通った価値観を持った者同士が、平和裏に交わるだけである。

 作家の曽野綾子氏の過去の著述の抄録集『人間の分際(ぶんざい)』(幻冬舎新書、2015)にも、以下のような言葉があった。

 「多くのことがその人しかわからない価値を持つ場合が多いのだから、
私たちは『喜ぶ者とともに喜び、泣く者とともに泣く』ことがいいのである。」 
                        『心に迫るパウロの言葉』

 

 政(まつりごと)では、大枠の社会秩序を保つ為に、異なる価値観を持つ者の代表同士が話し合い、互いの妥協点を見出すよう努力するが、個人レベルでは、"異なる世界"に住む人間のことなど知ったことか、と言うのが、多くの人の本音なのかもしれない。

 実際問題、今回のような事件は、「子どもを犯罪から守る」と言う社会的価値観の共有で、加害者(警察による性犯罪者情報の地域への通知と注意喚起)・被害者(一番手っ取り早いのは、夜間徘徊している児童生徒への地域住民による声かけや警察への通報か?)双方の立場から犯罪を未然に防ぐ方策を立てることで、幾らか減らせることは出来ても、根絶は難しいのかもしれない。なぜなら社会的監視の目から漏れる反社会的素養の人物は常にどの時代にも少なからず存在し、さまざまな要因から危険な状況に置かれる(or自ら飛び込む?)子どもも存在するからだ。
 
 子どもを社会の中で育てる以上、「こうすれば100%安全」と言い切れる対策は残念ながらないが、親として、我が子を極力危険から回避させる為の努力は、我が子が生まれた瞬間からするべきだと私などは思うのだが、このような意見にも反発する人はいるのだろう。




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