2006/5/19

RENT 見るべし!  映画(2005-06年公開)

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作品の放つ圧倒的なエネルギーに、全身が金縛りにあった
とでも言おうか?
あるいは使い古された表現ながら、「身体に電流が走った」
とでも言おうか?
とにかく今でも、劇中曲のメロディーが頭の中でリフレイン
している。何度も何度も…
Five hundreds twenty-five thousands
six hundreds minutes



1996年にNYのブロードウェイで初演を迎えて以来、
10年間ロングランを続ける伝説の舞台ミュージカル
『レント』
映画館でたまたま見た予告編で流れた曲が印象的で、
いつまでも耳から離れなかった。
一度聞いたら忘れられない、そんな心地よいメロディ。
Five hundreds twenty-five thousands
six hundreds minutes

「これは見逃すな、これを聞き逃すな」
次第にそんな声が聞こえて来た。どこからともなく…

"Season of Love"という曲らしい。
映画の冒頭でも、観客のいない劇場の舞台にメインキャスト
全員が横一列に並んで、この歌を高らかに歌う。

525,600分=8,760時間=365日=1年。
あなたの人生にとって、1年はどんな価値があるのか?
どんな意味を持っているのか?
1年は525,600分の集まり。
その1分1分をあなたはどう捉えているのか?
どう過ごしているのか?

本作は、エイズ禍が席巻した1980年代後半のNY、
イースト・ヴィレッジを舞台に、懸命に生きる若者達の
青春群像を描いた作品だ。

そこで描かれた愛の形は様々。異性愛、同性愛。少なくとも
彼らの世界で同性愛を理由に白眼視されることはない。

アパートの家賃(RENT)も払えない貧しさの中、
彼らはそれぞれの夢を追い求めながらも、
誰もが将来の成功への確信を持てずにいた。
焦燥と不安に耐えきれずにドラッグに走る者もいて、
それも大きな要因となってエイズが蔓延していた。

当時はまだエイズが世間に認知されて間もない頃。
特効薬もなく、エイズは常に死と隣り合わせにあった。
そういった状況下にあって、イースト・ヴィレッジの若者達
にとって、死は差し迫った問題であり、1日、1時間、1分
は正にかけがえのない人生そのものだった。

だからと言って、本作は全編悲壮感漂う作品ではない。
むしろ限られた命を燃やし尽くそうとする姿は、”生”への
賛歌として受け止められる作品だ。若者に夢を持つこと、
懸命に生きることの素晴らしさ、悩み苦しむことの中にも
”人生の充実感”が存在することを教えてくれる。
”死”を意識して初めて、生きることの素晴らしさを実感
するのは切ないけれど(人間は愚かにもそうありがち…)。

本作は、『グレムリン』『グーニーズ』の脚本を手掛け、
『ホーム・アローン』『ミセス・ダウト』
『ハリーポッターと賢者の石』の監督でも名を馳せた監督
クリス・コロンバスが演出。
冒頭の舞台上でのコーラスなど、オリジナル舞台への敬意を
表しつつ、さらに映画ならではの映像的仕掛けを加えて、
作品の魅力を余すことなく伝えることに成功している。

オリジナル舞台の台本・作詞・作曲を手掛けた、ジョナサン・
ラーソン(故人)、舞台版のオリジナルキャストも務めた
アダム・パスカル、アンソニー・ラップ、ジェシー・L・
マーティン、ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア、
テイ・ディグス、イディナ・メンゼルら主要のキャストも、
かつてイースト・ヴィレッジでそれぞれ明日の成功を
夢見て貧しい生活を送った経験を持つと言う。
そして舞台を見て、映画化を思い立った監督自身も。
そう、これは紛れもなく、彼ら自身の物語でもあるのだ。
舞台設定、音楽、演出、演者の全てが見事に噛み合って、
作り手それぞれの想いがひとつの大きなうねりとなって、
見る側に迫って来るかのよう…。

私が見に行ったチネチッタでは、一時プログラムも
サントラ盤も品切れ状態だった。見終わった後の
観客の感動が窺い知れるエピソードではないだろうか。

ただひとつ個人的に納得行かないのは、映画の出来不出来
とは関係ない話だが、なぜ不安と焦燥にかられた結果が
ドラッグなのか?ということ。さらにタチの悪いことに、
ここ日本では遊び半分で手を出す若者もいると聞く。
とんでもない話である。
夢に向かって走って走って走り続けた末の挫折なら
納得も行くが、夢を諦めてドラッグで身を持ち崩す人生は
与えられた命への冒涜以外のなにものでもないと思う。



2006/5/29  13:50

投稿者:管理人はなこ

睦月さん、TB&コメントありがとうございます。
ミュージカルは、ブロードウェイのオリジナル
・キャストなんですよね。
今回の映画版とは違うのでしょうけど。
私もチャンスがあれば是非見てみたいです。
私のほうこそよろしくお願い致します。
ということで、早速「ダ・ヴィンチ・コード」
をTBさせていただきました。

2006/5/28  23:20

投稿者:睦月

こんばんわ!初めまして!『カリスマ映画論』管理人の睦月です。TB&コメントありがとうございました!

とても素敵な作品でした。
歌がホントに素晴らしかった!
このミュージカルが日本に上陸するみたいで、
舞台の方もとっても気になっている睦月です。
映画であれだけ盛り上がるのだから、
舞台はもっとパワフルなんだろうなあと思います♪

ではこれからもどうぞよろしくお願いいたします!

http://blog.livedoor.jp/clockworkorenge/

2006/5/22  10:35

投稿者:こでまり

TB&コメントありがとうございました。
私はストーリーもさることながら、歌のすばらしさにひきこまれてしまいました。
オリジナル版ですが、サントラも買いました。
でも映画の方が迫力あったように感じます。
映像を目にしているせいでしょうか?

http://blog.goo.ne.jp/kodemari44/

2006/5/22  8:46

投稿者:管理人はなこ

hideさん、TB&コメントありがとうございました。
私は美術館で児童生徒向けにギャラリートーク等を実施
しているのですが、作品を前にして感じたことを率直に
子供達に述べてもらう対話型トークとは言え、
やはり紹介する作品について、作家のこと、
その作品が作られた時代背景、その作品の評価
(時代による変遷も)など、一通り調べるようにしています。
そういうアプローチで、映画も見ているのです。
映画も含めて芸術作品というのは、時代を反映した
ものであることは間違いない。それを読み取る
楽しさがありますね。

「プロデューサーズ」も見ました。
こちらは絢爛豪華でラインダンスあり、と正統派
ミュージカルでしたね。
3月にロンドンに行ったのですが、当地でも
「プロデューサーズ」の舞台は人気でした。
しかし、ロック・ポップス世代の私には、
「RENT]の方がより胸に迫って来るものが
あったように思います。
もちろん是非、また伺わせていただきますm(_ _)m。

2006/5/20  14:21

投稿者:hide

『映画と秋葉原とネット小遣いと日記』のhideです
はなこさんコメント&TB有難うございます
>階層の固定化は憂うべき事態ですよね。

当方に載せて頂いた、はなこさんのコメントを拝見してその洞察力、分析力に大変驚きました。
本来、映画の登場人物の彼らの絶望的な状況の理解を深めて貰う為の説明であったのですが。
裏の意味!現在の日本のボヤキ!!見たいのが出てしまったのですが。
論理的に組み立てた、はなこさんの言われた通りですし全面的に同感です。

同時期に『プロデューサーズ』と言うコメンディで最高のエンターテーメントのミュージカルも大変楽しめました。
この映画は社会派ミュージカル?と言うのでしょうか?これも思い出が残る良い映画でした。
またお暇な時にでも、お気軽にどうぞ

http://ameblo.jp/hide007blog/


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