晩ご飯を食べていたら、田舎の従兄弟から珍しく電話があった。
従兄弟は私よりたしか10歳上で、独身。
彼は写真が趣味…というか、「いつか写真で大成したい」と思ってるらしい。
若い頃は、上京してスタジオでカメラマンのアシスタントとかやってたみたいだし、その後、半年働いては残りの半年を、海外で撮影とかして暮らしたり(旅行?)の経験もある。
最近は田舎に引っ込んじゃって、全然関係ない仕事してるけど、地元の中学や高校の野球部やサッカー部の有望そうな若人の写真を撮って、彼らに渡したりするのが楽しいらしい。
そんであらためて思ったのが「私って郷土愛無いよな」ということ。
従兄弟は地元出身のサッカーや野球少年らの何人かがどこそこの大学で活躍してるだの、Jリーグに入った子もいるんだよとか自慢げに話す。
スピルバーグがリメイク権を買った、映画化されたなになにという小説の作者が地元の出身だーとか、地元で有名なモダンアートの作家は、パリの美術展で賞を貰っているーとか。
…ふーん…???
全然興味ないんだけど、なんでこの人は、こんな話してるんだろうと思いつつ、まあたまの電話だからいっかーと相づちをうつ私。
だいたい、なんで電話してきたんだ?
第一声が「パソコンでエフェクトとか、出来る?」
だったのだが、話がまったく見えない…。
なんとなく、「エフェクト」という響きで「動画」のことかと思ったので、
「動画のエフェクト? だったらわからない。私は動画はいぢったことないよ?」
と言ったのだけれど、
従兄弟は「最近『カラリオ』を買ったんだ。フィルムが使えるヤツなんだけど。何か良いソフトない? なんかうちのパソコンに繋がらないんだけど、詳しい?」と微妙に話が跳んでません?
今思うと、話の要点としては「最近撮った写真(アナログ)のフィルムをカラリオでスキャンして、パソで加工とかして出力がしたいんだけど、なんかパソに繋がらないんだけど。そんで、加工するには何が良いかな?」てことだったんだと思うんだけど、従兄弟の話ップリは、何故だかピョンピョンと話が跳んで、電話してる時には何のことを話してるのかサッパリわからなかった…。
従兄弟はパソは持ってるみたいだけど、ネットには繋いでいないらしい…。
「カラリオが繋がらないと言われても…取説に書いてあるんじゃ?」とミもフタもない返事したりする私。
従兄弟は「やっぱり本屋とかで本を買わないとダメかなあ? NHK教育のパソコンの番組とかは見てるんだけど…」
私「…ネットに繋ぐことをおすすめするですよ。最近のソフトとか調べたり出来るし、エフェクト用にフリーソフトで何か良いものあるかもしれないし。ブログとかに、自分の作品とかアップできるんだよ?」
従兄弟「作品は別に、発表しなくていいんだよ…投稿写真とかの雑誌があるじゃない?」
私「投稿してるの?」
従兄弟「いや、してない。そゆとこに、女子高生とかの作品が載ってたりするんだよなー」(何が言いたいのか、わかんねー)「そうだ、『スカイ・クロラ』観た? 良かったよ。あの監督がさー、あの、うる星やつらの人なんでしょ? 当時(撮影)スタジオに居た時に、スタッフにアニメージュとか読んでるヤツがいてさ…クックック」(何がおかしいんだろう??)
私「ふ、ふーん?? スカイ・クロラは興味ないや」
従兄弟「ポニョは観た?」
私「観に行くつもり。アレってクトゥルーものなんでしょ?」
従兄弟「……」
私「……」
従兄弟「そういえば、アラーキーがこっちで写真展やるんだって。「妊婦のヌード」がテーマだって」
私「ふーん。来るの、アラーキー?」
従兄弟「それは知らない。でもスゴくない?『妊婦のヌード』だなんて…アラーキーじゃないと、(モデルが)脱がないよね、フツー」
私「…」
従兄弟「オレなんか、地元の高校とかで写真撮ってると、きっとヘンなおじさんとかだと思われてるんだろうなー」
私「…」
従兄弟「東京とかだと、学校とかあるじゃない、写真の美術館とか? こっちで写真撮ってたりすると、おかしな目で観られるよね。そんなのオレぐらいしかいないしー」
従兄弟「で、今描いてるの、マンガ? 夢の印税生活?」
私「描いてるけど、自転車操業だよ」
従兄弟「そっかあ…でも、続けていればきっと、いいことあるよ」
私「そだね」
とまあ、そんな感じで、彼の話はコロコロと脇道へそれて行く。
しかし強烈に感じられるのは、「地元への愛。もしくは地元で何か貢献したいという想い」
私には「地元」がない。幼なじみも、特にいない。
「実家」と呼んでいるトコロも、両親が引退して建てた、両親の実家の近くの家で、私は住んだ事がない。
なんとなく、「両親の住んでいる実家がある」という理由で、出身は「熊本」と言ったこともあるけど、熊本に住んだことは一度も無い。夏休みにおばあちゃんの家に遊びに行ったことがあるくらい。「実家」に「帰省」しても、私の部屋は無い。学生時代の友人なども一人もいない。
親戚はいっぱいいるけど(笑)。
じゃあ、育ったところが「出身地」なのかというと、それもどうかなー。
父の仕事の関係で、幼稚園に入る前、幼稚園、小学校〜高校と過ごした場所が違う。
一番長く居たトコロでも、小学校時代に母に「中学くらいで、熊本に家建てて引っ越すから」と言われていたので、引っ越すものだと思っていた。自分は、当時住んでいたトコロの人間ではないのだなーと、なんとなく思った。
自分はヨソモノなのだと。
結局、中学で熊本へ行く事はなかった。でも、東京へ行きたいと思った。
東京で、イラストの仕事がしたいと思った。どうせ、今居るトコロも仮の居場所なのだから、どこで暮らしても良いじゃないかと。
東京に出て来て20年近くたつけど、特に田舎は恋しくない。
親が聞いたら悲しむかもしれないけど、田舎は好きではない。特に愛着があるわけでもないし。というか、愛着は全然ない。ごめん。
というわけで、私には郷土愛ってないなーと思ったのでした。
テレビで「秘密のケンミンショー」とか観ると、うらやましく思う(笑)。
今住んでいる新宿の住人でずっといたいけど、いつまでいられるかなー?
ああ、ある意味「新宿への郷土愛」はあるかな?(笑)

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