「君のためなら千回でも」  

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舞台は1978年、アフガニスタンの首都カブール。

アミールは12歳、いつも親友のハッサンと一緒に遊んでいる。

アミールは物語を書くのが好きな少年。
そしてハッサンは気の弱い臆病なアミールの傍らにいつもいて、街の不良から得意なパチンコを使って守っていた。

ハッサンは字が読めないので、本が好きなアミールの蔵書の中からイランの物語である「ロスタムとソーラブ」を読聞かせてもらうのが好きだった。

アミールの父ババは裕福で、ハッサンは父のアリと共にアミールの家で召使いとして働いている。
アリとハッサンはハザーラ人であるため街でも虐げられる存在であるが、アミールの父ババは自分の父が幼い頃のアリを引き取って我が子の様に育てた為に、2人を家族同然に受け入れていた。
(*ハザーラ人はアフガニスタン国内でもマイノリティであり人口の約1割程。外見的特徴はモンゴロイドであり宗教はイスラム教シーア派。虐殺などの歴史もあり現在でも差別などが残っている)

アフガニスタンでは新年に凧揚げ競技会が行われる風習があり、日本と違って二人一組になり相手の組の凧の糸を切り、落とした方が勝ち。アミールとハッサンは競技会に参加し、優勝する。

ハッサンは自分たちの凧を拾いに行くが、パシュトゥーン人の不良アセフ達に捕まって暴行を受けてしまう。ハッサンを探していたアミールは、ハッサンが暴行を受けている光景を見ていながらも勇気を出せずに隠れていたために気まずくなり、ハッサンをその日から避ける様になってしまう。

ある日、アミールは父ババから買ってもらったばかりの時計をハッサンの部屋の枕の下に置いて、ハッサンが時計を盗んだと父ババに言ってしまう。父ババはハッサンに「お前が盗んだのか」と問いつめるが、ハッサンは自分が盗んだと伝える。父ババはそれでもハッサンを許したが、ハッサンの父アリは、今日限りで家を出て行くと荷物をまとめてハッサンを連れて出て行ってしまう。

アミールとハッサンの心は交わることなく、離ればなれになってしまった。そして時を同じくして1979年にソ連によるアフガニスタンへの侵攻が始まり、アミールと父ババはアメリカへ亡命することになるのだった。

それから20年後の2000年、作家としてようやく芽が出たアミールの元へ、恩人のラヒム・ハーンから一本の電話が入る。この電話がアミールの人生を変える。20年の歳月の中で置き去りにして来た親友への思い、そして後悔。アミールはタリバンによる独裁政権下の祖国へと戻るのだった。そして祖国で知ることになる真実とは・・・

この映画でアフガニスタンの風習として扱われている「凧」、その「凧揚げ」は今作の一番の見せ場である。凧が大空を風を切って舞う場面は心が踊り、爽快でもある。凧は「自由」の象徴のようでもある。

凧は一見、自分の意志で大空を駆け巡っているようでもあるが、実は糸に繋がれている。凧とそれを揚げる人間(そしてその間にある糸)との関係は様々なものに置き換えることが出来る。「身体と心」「人間と宗教」「人間と人種」「人間と民族」「友情と愛情」「絆と絆」・・・(糸は意志、感情、思いに例えられるだろうか)凧が大空で絡み合い糸を切り合っている光景は人間同士の無様な民族対立であったり、宗教観の争いにも重ねて見ることが出来るし、様々な環境や境遇に囚われながらも、心や精神は凧の様に自由であり続けることが出来る、尊厳を維持出来るのだという人間としての厳かな意志の力にも見て取る事が出来る。

貴方は、この大空に舞う凧に何を思い、何を投影出来るだろうか。

二人の少年の友情を縦軸に、私達のそれぞれの人生でも身近にある誰かへの愛、そして信頼、絆、過ち、後悔という人間の本質に関わる繊細な事柄が横軸となって描かれている。

この映画は決して悲劇ではない。少年の慈悲と自己犠牲の精神が生んだ、壮大な愛と絆の叙事詩である。

この映画から私達が学ぶべきことは、今がどんなに困難で苦しい状況であったとしても、必ず一歩踏み出せば新しい未来を手に入れることが出来、そしていつだってやり直しが効くということだ。

この映画はきっと貴方に希望のメッセージを送ってくれる。

タイトルの「君のためなら、千回でも」は台詞として劇中の前半と後半で二度出て来る。
最初はハッサンが、後半はアミールが。

その言葉の真意を是非映画を観て確かめて欲しい。


アミールの父ババのこの台詞も印象深い。

『この世に罪は1つ "盗み"だ 他の罪は盗みの変形だ わかるか?』

『男を殺すことは 男の命を奪うことだ 男の妻から夫を盗み 子供たちから父親を盗む 人を騙すのは その人から真実を盗むこと 盗みは何よりも卑怯だ わかるか?』



2007年・アメリカ
マーク・フォースター監督
原題: The Kite Runner
ペルシャ語題: کاغذ‌پران‌باز- Kāğazparān Bāz

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