藤井 村山 名人

2021/8/26 | 投稿者: pdo

久しぶりに、将棋の話です。

昨日、藤井聡太二冠(王位棋聖)が挑戦者の豊島竜王に勝ち、四勝一敗で王位を防衛。

まだ両者の対戦は、二勝二敗のタイで迎えた叡王戦最終第五局が来月にあり、もし藤井二冠が来週の月曜日に行われる永瀬王座との竜王挑戦者決定戦第二局に勝利すれば、豊島竜王への挑戦が決まる。

現在の将棋界は、藤井二冠、渡辺名人、豊島竜王、永瀬王座の四強といわれており、藤井二冠が今年度中に竜王か王将のタイトルを奪取することになれば、藤井一強時代が早くも到来するかもしれない。

将棋界にはおよそ二、三十年に一度の割合で棋界を支配する大天才棋士が現われているが、現在の藤井二冠のような若干十代にして完成された強さを備えた棋士は将棋の歴史にも類を見ないと思われる。

藤井聡太の凄さはすでに小学生の時にプロ棋士を含めた詰将棋選手権で優勝したときから認められていた。この子が将来どんな凄い棋士になっても驚くまい、と当時既に、師匠の杉本八段を含め多くの者が感じていた。

そして藤井二冠は、その時から周囲の期待にまったく違わぬ成長を見せ続けている。

棋士のピークは一般に二十代後半から三十代にかけてというが、まだ十九歳の藤井二冠にとってピークと呼べる時代はいつになるのだろうか。少なくともまだそれが来ていないことは確かだろう。もし通常の成長曲線に従うとすれば、あと十年は強くなり続けることになる――

・・・などと、誰でも書くようなありふれたことしか書けないのが悔しい。

前人未到の記録の藤井であるが、やはり凄い人というのはいるもので、藤井ですら達成できるかどうか分からない記録を先人は残している。

その一つが、最年少名人位獲得である。谷川浩司九段が二十一歳二カ月で達成している。

これを破るためには、今期のB級1組で昇級し、さらに次期のA級でも1位になって名人に挑戦することが必須の条件となる。

そのとき名人位に就いているのは、現在の渡辺名人である可能性が高い。七番勝負になれば、藤井二冠の方に分があると思われるので、順位戦を二年連続で突破できるかどうかがカギだ。今期の順位戦では現時点で二勝一敗。A級に上がる為には、もう負けることは許されない――

記録については意識しない、ただ目の前の一局に全力を尽くすのみ――こう普段から語って憚ることのない藤井である。それは決して気取りやポーズではなく、本心であることも確かであろう。そういう心構えを崩さないからこそ、ここまで勝ち進んでこれたのである。

しかし、史上最年少の名人位という記録は、いかな藤井聡太といえども意識せざるを得ないと思われる。将来藤井が名人になることを疑う者はいないだろうが、〈いつ〉それが実現するかが最大の注目ポイントとなっている。

藤井の師匠・杉本八段は、藤井の将棋を観て、「いつも体力のある村山聖」だと評したことがある。

その、杉本のライバルでもあった故・村山聖八段は、「名人になる」という悲願を達成できぬまま、二十九歳の短すぎる生涯を終えた。

村山にとって、名人位を奪取すべき相手は、史上最年少名人・谷川浩司を措いて外にいなかった。

村山は、A級八段に昇段したとき、「彼方へ」というエッセイの中で、こう書いた。

お金も名誉もいらない。頂点に立つ事、それだけだ。勝負の世界には、後悔も情けも同情もない。あるのは結果、それしかない。・・・

四段になって考えていた。60連勝すれば名人になれる。・・・

これからが本当の勝負、そう思っている。


藤井聡太が名人になる日、それは将棋の歴史が一つの区切りを迎える日だ。

それがどんな区切りになるのかは、まだ分からないが。
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