光りの領分

2021/5/12 | 投稿者: pdo

津島佑子『光りの領域』を図書館で借りて少しずつ読んでいる。『寵児』と同様に、シングルマザーのダメ女(と呼んでよいかどうかには躊躇いがあるが、「世間的」にはそう見なされるような存在)の主人公の語りが、書き手と主人公との程よい距離感を感じさせて、読んでいて快い。読んでいてすんなり入って行けるかどうかが自分にとって小説のほとんど唯一の評価ポイントで、西村寛太にも川崎長太郎にも津島佑子にもそれはある。大江健三郎は、入って行ける作品とそうでない作品がある。

名作と呼ばれる作品にも「入って行けない」ものは履いて捨てるほどあり、またその時の自分の心境やコンディションによっても変わってくるので、客観的な評価基準にはならない。今その時の自分に「しっくりくる」かどうかという感覚がすべてのようなところがある。今の自分にとっては、太宰治ではなく津島佑子の小説が「しっくりくる」ということだ。
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