楽しいブンガク(続き)(随時更新)

2021/3/26 | 投稿者: pdo


第94回 米谷ふみ子「過越しの祭」

自由を求めてアメリカに渡った女性が国際結婚した男性がユダヤ教徒で、親戚の宗教行事に出席させられ息苦しさを感じるという心情に共感を覚えるのが難しく、読み飛ばしてしまう。それなりにいい小説なんだろうが、今の自分にはリアリティがない。


第95回と第96回は受賞作なし。

どちらも山田詠美が候補に挙がっているが、選評には「文章は素晴らしく才能は買うが今一つ足りない。次回作に期待」とばかり書かれて結局受賞できず、可哀そうになった。
今では押しも押されもせぬ大家となって芥川賞の選考委員になっている。この人の小説は読んだことがないけれど、ここまで焦らしプレイを見せられると読んでみたくなった。


第97回 村田喜代子「鍋の中」

四人の少年少女(10代の兄弟従妹)が八十歳の祖母の家で暮らすことになる、田舎での生活情景や主人公(十七歳少女)の心情が描かれる。あまり魅力のある作品世界と思えず入っていくのに苦労する。オチはつくようでつかない。個人的には退屈したがいい小説だとは思う。


第98回 三浦清宏「長男の出家」

57歳での受賞。「長男の出家」というタイトルだけ見て、人生に思い詰めた少年の表情(興福寺の阿修羅像のような)が頭に浮かんで涙が浮かびそうになったのだが、実際に読んでみると、確かに長男の出家の物語ではあるものの、イメージしたような小説ではなかった。
宗教小説ではなく、一種の家族物語。禅寺の息子である水上勉は高く評価しているが、それほどの深みは感じない。

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