私の東京物語(7)

2020/12/16 | 投稿者: pdo

第7話

高校卒業後、歯科助手として江東区の歯医者で働きました。歯科助手というものは歯科衛生士とは違って資格がいらないので元々歯とかに興味があった私は高校一年生からずっと埼玉でアルバイトとして歯科助手をしていました。地元の歯医者を転々とし、その中で出会った一人の先生が、近いうち開業して東京に行くからスタッフが欲しいとのことで、高校を卒業したら芸能の仕事がやりやすくなるように東京で働きたいと思っていた私はタイミングよく引き抜いてもらいました。

今回からいよいよ鳥居みゆきが芸人を目指して上京するクライマックス部分に入る。彼女自身によって書かれた幼年時代から思春期に至る記述の中には、シスター・コンプレックスと呼ぶのがふさわしいかどうかは別として、<アウトサイダー>である自己と対照的な、<メインストリーム(誰にでも愛される存在)>としての姉の影響が色濃く感じられてきたのに対し、ここからは鳥居みゆきが一人の表現者として自立していく過程が綴られることになる。

先生は理解ある人で「芸能の仕事優先でいいよ」と言ってくれ、私もそのつもりだったのですが、芸能活動であるオーディションもなかなか受からず、ほとんど毎日出勤できてしまっていました。もうこのままずっと歯科助手でもいいかな、生活できてるしお給料も悪くないし。半ば芸能に対して諦めの気持ちもありました。

この時期鳥居みゆきは、女芸人になるのか普通のモデルとして活動するのかはっきり決めていなかったと思われる。というよりは、芸人になる意思はそれほど強くなかったのかもしれない。というのは、彼女が受けたオーディションの中には、大手消費者金融「アコム」のキャンペーンガールの仕事が含まれていたことが、後の彼女自身の証言により明らかになっているからだ。このとき鳥居は最終選考の一歩手前まで行ったが、最終審査で「これに落ちたら本当におたくのお世話になる事になります」と言ってしまったために小野真弓に敗れた、とネタにしている。

ある日、歯科医院に一人歯科衛生士が入ってきました。そこで歯科助手と歯科衛生士の業務内容の違いや待遇の違いをまざまざと見せつけられ、悩みました。どうせ骨を埋めるなら歯科衛生士になるべきだった、国家資格を今から取るにも年数がかかる、その間、芸能の仕事も歯医者の仕事も宙ぶらりんになる、どうしよう。歯がゆい葛藤の末、目標を芸能一本に絞り、歯を食いしばって頑張ることに決めました。


鳥居自身が書いているとおり、歯科助手は、受付事務や診療のための雑務を担当する仕事であり、歯科衛生士のように国に認められた資格ではない。

「歯科衛生士」は、歯科衛生士法(第1条、第2条)に基づいた国家資格であり、その資格取得について修業年限(3か月)、時間数、必修学科目が明確に規定され、医療人としての業務、地位が保障されている。

すなわち、厚生労働省指定の養成機関で専門教育を受け、93単位(2570時間以上)(うち臨床実習20単位(900時間))を満たさなければならず、国家試験にも合格する必要がる。

それによって歯科衛生士に居は歯科診療補助、歯科予防処置、歯科保健指導を行うことが許されているが、歯科助手にはそのような権限はない。

したがって、患者の歯石を取るといった業務も、歯科助手には許されておらず、違法行為となってしまう。

当然、収入にも大きな格差がある。ある調査によると、歯科衛生士の月収平均は25万1100円 程度であるのに対し、歯科助手は20万6000円という。

鳥居みゆきはここで大きな決断をした。ここは彼女にとっての<ロードス島>だったのだ。

そして、みゆきは、跳んだ―――

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