高い緊張感をもって注視せよ

2020/8/1 | 投稿者: pdo

中原昌也の新刊『人生は驚きに充ちている』(新潮社)を早速勝手、表題作を読んだ。

初出は『新潮』2019年5月号で、掲載当時図書館で読んだ記憶があるのだが、そのときはそれほど面白く感じなかったのでコピーも取らなかったのだが、今改めて読んでみると、けっこう面白かった、

要するに出版社(新潮社)の会議室に缶詰めになって小説を書かされていて、ノートパソコンを前に何も書けず、窓の外をぼんやり眺めたり、担当編集者(小松)に無言のプレッシャーをかけられたり、近くのコンビニにおにぎりを買いに行ったりしながら呻吟している状況を、中原昌也特有の魚眼レンズを通したような歪んだ心象風景交じりの描写で描いたという、いつもの「中原節(なかはらぶし)」と言えば言えるのだが、今回はやや哲学的で内省的なトーンが仄かに感じられるのは、ドストエフスキー『罪と罰』のラスコリーニコフという単語が頻出することからも察せられるとおり、そういう気分だったからだろうか。

この単行本には、小説はこの一作のみで、あとはインタビュー(古井由吉)やルポタージュやエッセイや日記(戒厳令の昼のフランス・ツアー日誌)なので、これから読むが、読むのが楽しみだ。
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タグ: 中原昌也 小説



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