将棋連盟不正措置事件について

2017/1/30 | 投稿者: pdo

三浦九段が対局中にソフト・カンニングしたという疑いを【証拠なしに】かけられ、【不当に】竜王戦の挑戦権を剥奪された事件(休場措置というのも同じこと)について、連盟理事が記者会見で謝罪し、谷川会長が辞任したが、まだ騒動が収まったとはいえない状態が続いている。

昨年末以来、将棋への関心が急速に失せていき、もう正直どうでもよくなってしまっているのだが、自分の考えを整理するために、たぶんこれが最後になるが、個人的見解を記しておく。

昨夜、羽生三冠の妻が、この件について連続ツイートをしてニュースを賑わせている。

(以下ネットニュースより転載)

メディア、ネットでの情報拡散の恐ろしさと、イメージ先行の怖さについて計19個の大量連続ツイートをしますので、お嫌な方は今すぐミュートして下さい」――羽生理恵さんの投稿はこうした文章からはじまり、半分は自身のこと、もう半分は将棋のことについて語った。

 将棋に関する主な内容は以下の通り。

・2月13日に三浦九段の復帰戦(相手は羽生三冠)がある。否が応でも注目される対局を前に誤解を解きたい

・羽生三冠が2016年10月に開かれたトップ棋士らの会合に出席したのは、島理事から電話があったため。「渡辺竜王からどうしても羽生にお話がある(中略)来てほしい」との要請があり渋々出かけた。そこでは一方的に説明を受ける形となった。

・島理事からのメールの返信として「その経緯が本当に事実でもグレー」といったコメントをし、疑わしきは罰せずが鉄則と明言した。しかし、前後の文脈を省いた部分が週刊文春の中吊りなどに使われた。

・文春の発売を知った羽生三冠は「1人の棋士の人生を変えてしまう、将棋界のためにも書く」として、夜中対局から帰宅後、Twitterに意見を投稿した。

・いつまでもネット上の噂や騒動が収まらないことが三浦九段の棋士としての日常を壊している。三浦九段が「早く普通に将棋を指したい」と望んでいることもあり、収束は弁護士に任せ、復帰戦を見守ってほしい。「将棋だけに集中出来ますように。ファンの皆様、お力をお貸しください!」

(転載終わり)


連続ツイートの前半部分は、過去に羽生との婚約時に言われなきデマのような記事を書かれたことやコメンテーターへの批判であり、この機会に鬱屈した感情を爆発させた感がある。

気持ちは分からなくもないが、この一連のツイートによる発言が、騒動を収束させることに役立つかどうかは極めて疑問だと言わざるを得ない。

騒動がいつまでも収まらないのは、三浦九段の棋士人生を変えてしまうような告発を行った棋士たち(複数)及び三浦九段を「クロ」と決めつけて処分した連盟理事について、その責任がうやむやにされているという印象を与えたままだからである。

そこがはっきりしない限り、当事者である棋士の妻がいくら「騒ぐな」と喚いても逆効果になるだけだろう。

ではどうすればいいのか。大変悩ましい問題である。次期会長候補とされる佐藤康光九段もさぞ頭が痛いに違いない。もっともこの大変な時期に敢えて会長になろうと言うのだから、この事件の収束に向けた何らかの考えは持っているものと思われる。

僕のぼんやりした頭では、この騒動を理想的な形で収める方法が思いつかない。結局、羽生夫人の言うように、収束は弁護士に任せ、淡々と「将棋だけに集中する」しかないような気もする。

厄介なのは、今回の事件の背景に、将棋ソフトの実力がトップ棋士を凌駕したことをトップ棋士自身が認めているのに、将棋連盟がそのことを真正面から認めるのを避けてきたという事情が存在することである。

三浦九段が数年前に将棋ソフトに敗れた時点で、連盟(谷川会長)は、「ソフトの実力は少なくともプロ中位クラス以上はあると認めざるを得ない」などとヌル過ぎるコメントをして、その認識の甘さに失望したものだ。

あのときにもうこの事件の種子は蒔かれていたのだと今になれば思う。

トップ棋士たちが、相手に凄い手を指されたときに、カンニングを疑うようになってしまった。そのことが、何ともやるせないし、もう将棋というゲームの終焉を感じさせる。

今春には最強ソフト「ポナンザ」と、現役棋士最強の佐藤天彦名人の「電王戦」が行われる。

将棋界にとっては、この勝負が、「歴史の終わり」となるかもしれない。

大義を失った世界は、もう何でもありの弱肉強食の世界になるしかない。この場合の「強さ」には、政治的な力や、他人を陥れて非難されても動じないメンタルの強さも含まれる。

「純粋なるもの」の窮極の頭脳勝負を楽しんでいた僕のような人間が、「純粋なるもの」を失った世界に魅力を感じなくなるのは必定の理。

何ともうすら寒い限りである。

はてさて、困ったねえ…

なんとかならんもんかねえ…

(以下 現実逃避)

「ありがとう、この世界の片隅に うちを見つけてくれて」

「ほいでもう離れんで ずっとそばに居ってください」

すずのこのセリフを読んで、のんは片渕監督に、「このセリフは、今までのすずさんならモノローグ(心の声)だったと思うんですけど、ここでは声に出して言ってるんですね。それはすずさんが変わったということなんですね」と言ったとか。

このセリフの後、二人の後ろを毛むくじゃらのオッサンが通り過ぎる。これは冒頭に出てきた、周作とすずの出会いのきっかけになった「人さらい」と同一の存在であろう。

「運命」が周作とすずの二人を引き合わせた。そして、この橋の上で、すずはあのセリフを「声に出して」言うことで、この「運命」を主体的に受け入れたのだと思う。

この作品は「運命」を引き受けて生きる人間の強さを描いているから、海外でも普遍的な感動をもたらすに違いないと思った。

「運命」を聴いた後、賢治は弟の清六に「おれも是非ともこういうものを書かなくてはならない」と語ったそうだ。

そうして出来たのが、詩集「春と修羅」(1924年・大正13年出版)であった。

賢治の言う「こういうもの」とは、どういうものか。

そんなことをいつまでも考えていたい。

そんな風に思った。


※追記

谷川浩司現会長の実兄、谷川俊昭氏が、三浦弘行九段の真の名誉回復を実現するため、真相の徹底究明と、渡辺明氏を中心とするメンバーの適正な処分を求めて、ウェブ上で署名活動を開始したというニュースが流れた。

将棋連盟に将棋愛好家の声を届けるには一つの有力な方法かもしれない。
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