うつは病?  メンタル

読売新聞社生活情報部 「私のうつノート」 
  龍野晋一郎様

               うつは病?

 うつは心の風邪ではない。風邪は誰でも罹り自然に治る。うつは、残念ながら簡単には良くならない。うつは心の風邪という表現は間違っている。うつはストレスでなる。双極性障害も同じだ。ストレス(環境)にその人の素因(性格など)が重なって発症する。突然なるわけではない。なる人はなるし、ならない人はならない。なった人は、それまで生きにくさなどを感じていたはずだ。医療関係者は、うつは投薬で良くなると言っているが、そのため薬漬けになり、良くなることはなく、薬物依存から脱却できなくなり苦しむ。そもそも、良くなるとはどういうことなのかについての認識が、患者と医者の間で違うのでこのようなことになる。医者の言う”良くなる”というのは、薬物によって良い状態をコントロールすることである。患者にとって良くなるというのは、薬がいらない状態になることである。ここにギャップがあり、患者はいつも不満であり、薬物依存と、いつ良くなるのかわからないという不安に苦しむ。医者及び医療関係者は、心の病に全く対処できていない。年間3万人以上の自殺者がでるこの日本という国において。

 今のうつに対する医学的アプローチは、カウンセリングではない。脳の神経伝達物質の問題と捉え、薬物が中心の医療である。だからカウンセリングがない。症状を聞いて処方するのが医者の仕事。”うつは薬物で治る病気です”という医者の言葉を信じ患者は医療にすがる。ここにはことわりが必要だ。”治すわけではなく症状を緩和するのです。そしてそれは薬を飲んでいることが条件で、止めることは非常に困難ですと”。こう医者は正直に言わなければいけない。どこに治る根拠があるのだろうか?治るとはどういうことで、どういう状態を指すのだろうか?有効=治るなのだろうか?うつだけではなく現代医療全体が、治るという言葉に対して、無力感を持っており、それをごまかすために”有効”とか”緩解”という言葉を持ってきているに過ぎないのだと私は思う。医療関係者の医療指導マニュアル及び医学関係の教科書に、うつだけでなく病を治す治療は記載されていない(検査データの読み方と病理学的診断、薬物治療だけである)。何故か?あらゆる医学論文は有効性が根拠になっている。しかも目の前の症状に対して有効というだけのこと。治すことを目的とした論文はない。ここでも”治る”という言葉の医者と患者の誤解がある。治るという言葉の意味を曖昧にしている為、このような誤解が生じる。きちんと定義すべきだ。治るとは、薬がいらなくなること。有効とは薬を一生飲み続けること。

 私は、次の点について言いたい。
@うつは心の風邪ではない。風邪のように生易しいものではない。医療関係者は安易なことを言わないようにして頂きたい。うつではない人に”うつ”は安易な病気だと誤解させることになる。うつは”心の風邪”ということを是非、訂正願いたい。

A重要な点であるが、うつは病か?良くなるとか良くならないといった範疇のものであるのか?その人の性格や、育ってきた環境、今おかれている環境に起因するものではないのか?そもそも薬物で治療する類のものではないのではないか。うつとはどういう状態であるということを世間に知ってもらうことが一番重要なことであると考える。そして一緒に生活できる環境を創り出すこと。それが自殺者を減らすことにつながる。今の日本は、目に見える障害に対しては優しいが、目に見えない心の問題に対しては非常に厳しい社会である。手のない人、足のない人、目の見えない人には優しいが、生きるのが苦しい人には、自殺に追いやるほど厳しい社会であるということを認識しなければならない。そういう意味では、精神的に成熟していない社会である。精神開発途上国と言える。このような今の日本は絶対に国際的に認められることはない。

 要するに、うつは純粋に脳の神経伝達物質の問題からおきている明らかな病気もあるかもしれないが、気分障害のほとんどは、性格、環境などに起因し病ではない。雅子様の病気が何故薬で良くならないのか説明できないし、私も薬では良くならない。貴社のような取り組みにより、うつを世間に広く理解してもらうことが非常に有効な手段であると考える。うつは心の風邪という安易なキャッチフレーズは医療関係者に是非、訂正してもらいたい。
 うつの人が、自分はうつだと言える環境をつくらなければならない。うつでも普通に生活できる助け合いの社会。そして”うつ”から脱却するための学びの場としての、病院なり偏見のない施設が必要だと思う。うつの人が集い学べる場所。そこには専門のケースワーカーを配置する。適任は、今の制度の中では臨床心理士だと思う。そうなれば、自殺大国日本はいろんな意味で救われるし、うつだけではなく、みんなにとって住み易く良い国になれると思う。考えが飛躍しすぎだろうか?でも、日本の病巣の根本は、大人の精神的未熟にあるのではないだろうか?貴社の、今後の新たな挑戦(記事に)期待している。
                       平成19年6月6日                                吉田鍼灸指圧治療院                                吉田純久
   http://www.btvm.ne.jp/~himawari/index.html
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