「あめりかアルバム No.13 クレージーな人々(教授編 その2)」
アメリカ留学記
<女子学生の

希望の星

60歳の花嫁教授

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「今どきこんなのアリ?」と思うような、メルヘンなお話

です。
ミセス・ベーカーはとても知的なオランダ女性、美術クラス(正確に言えば、
フランネルグラフという視覚教材を作るクラス)の担当だった。
勤続30年以上のベテランで、皆から尊敬されていた。
金髪のショートヘアーでスラッと背が高く、ハツラツとしていて、
厳しかったが、とても人情味があって私は大好きだった。
その頃、卒業生とルームシェアをしていた私は、
2年前、同じ先生のクラスを取っていたはずのルームメートと、
ミセス・ベーカーの話をしたが、どうも話がかみ合わない。
名前が違うと言う。
???
謎はすぐ解けた。
次の週、ミセス・ベーカーは風邪でお休みだったが、
学校への連絡が遅れ、私たち生徒はすでに教室に着席していた。
そこへ、男性が走りこんできた。
連絡が遅れた謝罪に、ご主人がわざわざ来られたのだ。
みんな目を見張った。
わ、若い! 少なくとも20歳は違う。
授業前のお祈りと、賛美歌だけ歌って、今日は解散と言うことになったが、
代表でお祈りをしているご主人のことが気になって集中できない。
(いけませんね〜

)
次の週、先生は元気にクラスへ来たが、みんなの質問攻めに会い、授業にならない。
聞けばまだ結婚して1年足らずの新婚さんとな。
彼女は優秀な教師であるだけでなく、芸術家としての類まれな特技を持っている。
美術品の修復だ。
傷つけられた絵画などの修復を、全国の美術館から依頼されるらしい。
ある修復のために送られた絵画について、手紙のやり取りを担当者としていた。
互いの教養の深さ、芸術への愛情の強さに感動して・・・人生のパートナーを確信する。
絵画の修復が終わるまでに(何ヶ月だったんだろう。聞き損ねた。まさか数週間?)
彼はプロポーズする決心をし(まだ2人は一度も会ったことがナイ。文通だけ。)
そして、絵画を受け取る日が来た。
一目で20歳以上の年齢差がある事は、分かった。
・・・・・・一瞬、彼はひるんだが、
本当にプロポーズしたのだ!
エライ!!

彼女が即答したのは、言うまでもナイ。





お見合いという「便利な」制度がないアメリカでは、
相手は自力で探さなければならない。
だから大学では、相手を真剣に探す。
宣教師を目指す女子神学生にとっては、好きな人と、
使命を感じる国が違ってしまった場合、独身を決心することもある。
なかなか辛い選択となる。
だからこういう話を聞くと、「わたしも何時か・・」
と、みんな希望がわいてきたらしい

。
実はこの時、彼女はガンを発症しており、承知で2人は結婚した。
2年後、愛する夫の腕の中で、彼女は天に召される。
最後までカッコいい、テレビドラマ顔負けな2人だった。

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