「マリア・カラスを目指さないで! ボーカリストとダイエット そのA」
ボーカリストの日常
『頼むから、マリア・カラスを目標にしないでくれ。
彼女は、美貌と名声を得る代わりに、心身の健康と美声を失ったのだから。』
赤毛のサラ吉住さと子のブログ『みゅーじっく のおと』へようこそ!
歌手の健康について語る『ボーカリストの日常』ダイエット編の2回目です。
*なおダイエットとは本来『食事療法全般』の事ですが、ここでは『食事による体重コントロール(増減両面)』のつもりで記述しています。
前回で、『このままでは大変な事になる!』と私が減量を決意したいきさつについて、(相当はしょって)書きましたが、そんな私の頭によぎったのは、アメリカの大学院でオペラのクラスをご指導いただいたM教授の上記の言葉でした。
彼は学生時代、世紀のソプラノ歌手と称されたマリア・カラスの大ファンで、劇場へ何度も足を運び、今では伝説化している、執念のダイエットによって見る見る痩せて行ったディーバを目撃した生き証人でした。
あ、お断りをしておきますが『マリア・カラス ダイエット』でググると、『驚異の「〇〇虫ダイエットによって、105kg→50kg、1年間で55kg減量した。』と出てきますが、これは一種の都市伝説で、実際は肉と野菜を食べ、炭水化物を避けて(糖質制限食?)、3年で30kg落とした、が定説です。(それでもすごいですが。ちなみに彼女は身長173センチ。モデルなみの体型になったみたいです。)
彼女は母親から歌の英才教育を受け、美声を得るために太ることを強要された、そしてそれが、大きなコンプレックスとして彼女の心を縛り、内向的で人見知りだったと述懐したそうです。
奇しくも時代は、劇場からテレビと移行。
「今まさに結核で死のうとしている女が(『椿姫』ですね)、大きな体で汗をかきながら歌うのは興ざめだ!」という評が世間に渦巻いていた頃です。
『ダイエットに成功した彼女は、本当に、本当にハンサムになって、私たちは熱狂した。夢見心地だったよ・・・』
私は女性に、ハンサム(handsome)という表現を聞いたのは後にも先にもこれ一回きりでした。演技にも卓越した彼女は、美しいだけではなく、本当にカッコ良かったそうです。
しかしウットリとそのころを思い出していた教授は、少し目を潤ませながら、
『でも、声からどんどん艶が失われ、やがて体を壊し、舞台を最後まで歌い通す体力が無くなり・・・』
心身共に病み、スキャンダルの嵐の中で53歳の若さで亡くなる、というのは映画にもなりましたから、ご存知の方も多いのではないでしょうか?
歌手は重労働です。
オペラでは1公演で2kg痩せるという人もいます。
ミュージカルは踊りも入りますから、筋肉を落としたらケガします。
歌手でも、ジャンルが違えば、要求されることも違いますし、
骨格も違いますから、適正体重は人それぞれです。
ちょっと矛盾するようですが、〇〇kg太った、やせたと一喜一憂するより、『健康で元気に歌い続ける』を私は目標にしていました。その結果が私の場合、『15s痩せた』になりました。
ということで、次回は私が身をもって実験した『成功例&失敗例』をお届けしたいと思います。
お楽しみに(^O^)/♪〜〜〜〜〜〜〜〜

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