桃の花

この花何か分りますか?
そう、桃の花です。お客さまのお庭にあった桃の花があまりにも、美しかったので、皆様にも見て欲しくて写真をとってきました。
一つの出会いが大きく運命を変えることがあります。
この桃に出会うまでは、梅と桜しか興味がなかったのですが、
最近は、すごく桃が目に留まるようになりました。
桜が偉大すぎて、桃や梨の花はどんなにきれいに咲いても、かすんでしまいます。
でも、植栽のデザインを依頼されるとき、時々桃の花をご希望さらえる方がいらっしゃいます。
私が気づかなかっただけで、本当は桃はとても人気のある花なんですね。
全盛期のジャイアンツでチャンスに強い長嶋に隠れた王さん?みたいですね。
お客さまのお宅の桃は昔中国の苗を手に入れて植えたそうですが、1mにも満たなかったのが、3m近くに枝をはり、今まででみた、桃の中でもっとも美しい姿でした。
人の出会いもそうですが、すばらしい花との出会いは、一生見る目を変えます。
こんな話をご存知ですか?
ある学校の先生の話です。
小学校5年生を担当した女性の教師が、どうしても身だしなみがきれいでなく好きになれない生徒がいたそうです。
通知表にも、ついつい短所を書きならべていたそうです。しかしあるとき、彼の一年生の時の通知表を見たとき、そこに、「この子は、性格が素直で、勉強も前向きで将来が楽しみ」と書かれていて、目を疑ったそうです。
そこで2年から4年までさかのぼって調べてみると、2年の時、母親が病気で倒れ看病疲れで元気がなくなり、3年で母親がなくなり、4年で妻を亡くしアル中になった父親から暴力を受けるようになったと書かれていたそうです。
ダメだと決め付けたいた突然深い悲しみを生き抜いている生身の人間として自分の前に立ち現れて来た。先生にとって目を開かれた瞬間だったそうです。
放課後、先生はその生徒に、「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?わからないところは教えてあげるから」と声をかけたところ、初めて笑顔を見せました。
それから毎日一緒に勉強し、授業で始めて手を挙げたとき、どれだけうれしかったでしょう。
クリスマスの時、生徒が小さな包みを先生の胸に押し付けたそうです。あけてみると母親の残した香水だったそうです。
先生はその一滴をつけ、少年の家を訪れたところ、少年は本を読んでいたそうです。「お母さんの匂い、今日はなんて素敵なクリスマスだろう」と先生の胸に顔をうずめたそうです。
本当にすばらしい先生です。
その後、6年生の時、別のクラスになったそうですが、卒業の時カードをもらったそうです。
「先生はボクのお母さんのようです。そして今まであった中で一番すばらしい先生でした」
それから6年後またカードが届いたそうです。
「明日は高校の卒業式です。ボクは5年の時先生に担当してももらって幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます。」
10年後、まだカードがきたそうです。先生に出会えたことの感謝と父親に叩かれたので患者の痛みが分る医者になれる。と書かれていて、最後に
「僕は5年生の時の先生を思い出します。あのままダメになるところを救ってもらった先生を神様のように思います。」
そして一年後届いたのは結婚式の招待状でした。
「母の席に座ってください」と一行、書き添えられていました。
たった1年の担任が、これほど大きな影響を人に与える。
その子の悲しみに気づき、そして応えた先生のすばらしさ。
自分は日常の一つの縁に本当に応えているだろうか。
そして、相手の目の奥の深い悲しみに気づき、それにふさわしい言葉を投げかけているだうか。
10年ぶりに高校の部活の先輩や同級生と食事をした。
根掘り葉掘り、問いかけてくる人がひとりいた。
すべての人が順調とは限らない。
言いたくない人もいるだろう。
本当に相手の気持が分るのは、同じように苦しんだ経験があるからだ。
まわりには、精一杯生きようとしている人が大勢いる。
一つの花に出会い、一生その花を愛するようになる。
一つの出会いがあり、その一生を変える出会いがある。
中学校時代の担任の先生のご自宅を訪問した時、
奥様がこう話されていた、
「自分の娘の受験の時、まったく相談にのってくれなかった。」
先生はこう答えたそうだ。
「自分のクラスの40人の子供達の方が大切だ。」
感謝。
