トトロの住む家  

私の理想のリフォーム像。
宮崎駿さんが書かれた「トトロの住む家」にある。

「古い家が次々と姿を消す東京にいると、自分たちの少年時代が
歴史から消えてしまう。せめて記録にとどめられないかと
始めた企画なのだが・・・」

という文章で始まる。

家がただの物として扱われるのでない。

家がなくなっても思い出は消してなくならない。
のではない。

忘れるということは、人にとって良い時もあるし、悲しい時もある。
忘れるから心の傷が消えていく。だから前向きに生きていける。

でも家族の思い出も消えていけば、絆も薄くなっていく。

忙しい社会で、今生きていくことで精一杯だとすると、
なにかのきっかけがないと、思い出したいことも、時間の中に
埋もれてしまい。奥のほうから引っ張り出すことはたいへんだ。

でもお盆に家に帰る
強い日差しの下、田んぼの草の匂いを嗅ぎながら歩いていると、
ふと小学生の頃を思い出し、自然に笑顔になる。

落ち着いて、出された番茶を飲みながら、畳の上で懐かしい家を見渡すと、なんとも言えない、うれしい気持ちになる。

その家が、待っていてくれるから、そんな気持ちになれるのであって、
会話に出てきても、写真を見ても、そこまではならない。

当社で仕事をさせて頂いた、古民家のお施主様も、親戚が帰ってくると、
残してある、戸ふすまや、柱を見ては、同じ思い出を繰り返し、繰り返し、うれしそうに話してくれると聞いた。

だから、リフォームは建築業かもしれないが、思い出保存業かもしれない。

もっとかっこいい言葉があればいいが、そんな気持ちでいたい。

本の中の目次もいい。
「人と草木と家が、同じ時を生きて作り上げた」
自分たちががんばっている。ガーデニング事業もその想いだ。

そして最後の『「世の不思議」をたたよわせる家がいい』
では宮崎さんはこんなことを述べている。

「興味のもてる家というのは、『闇』みたいなものがある家ですね。
それをつくった人や住む人の、心のひだの奥行きが感じられるような。」

「今の基準からみると間違いなく不便。それでも『アルミサッシは嫌なんです』と言っておられる。セオリーどおり夏暑く冬寒き。家人のだれかが
自己主張しないと生き延びないですよね、ああいった家は「『闇』と
『迷宮』を守り通すおじいちゃんの頑固。その分ほかの大人たちはえらい
迷惑をこうむっている。

でも僕はそんな家は子供にはきっと何かを残すと思う。
僕は「この世には不思議なものがあるんだ。」
というのを、世界認識の根底に持たなくなった時、人間はずいぶん
薄っぺらになりはしないかと、心配するんです。・・・(途中省略)

今風の家はどんどん密閉化されていっていますね。庭はブロック塀で
囲み、家はアルミサッシで外界を遮断する。あれは音や、湿度や、
虫や、そして他人とも関係を絶ちたいという願望の表れなんでしょう。
それでエアコンの排気やゴミや迷惑は全部外に吐き散らしている。
・・・・

宮崎さんが取材し、写真やイラストを交えたとても楽しく、癒される
本です。ぜひご一読ください。古い家を残すことの意義がわかります。
0




AutoPage最新お知らせ