今日は暖かったですね。
薪ストーブを一度も焚いてないのは今年に入って初めて。
暑さ寒さも彼岸までって言いますので、もうそろそろ寒さも和らいでくるのかも知れませんね。
ドラマ『火の魚』を観ました。
原田芳雄さんと尾野真千子さん主演のドラマです。
2009年に放送されたドラマだったのですが、つい先日アンコール放送されたんです。あとでゆっくり観ようと思って録画しておいたのを今日観ました。
単発のドラマにしては短い時間(1時間弱)だったけど、十分見応えがありました。
原田さん扮するは、頑固な偏屈じじい小説家 村田省三
尾野真千子さん扮するは、女性編集者 折見とち子
オノマチさん演じる折見の言葉遣いがものすご〜く丁寧で淡々としていて、朝ドラ『カーネーション』でのガラッパチ糸子とは180度違った役柄だったのがとっても新鮮でね、ホント女優さんって凄いなーってしみじみ感じたよ!(笑)
原田さん扮する村田の偏屈っぷりも相当なもんなのですが、折見との会話のシーンではその偏屈っぷりが全然彼女には響かないし応えていないのが村田にはとても歯痒いんでしょうね。彼女と話す度に段々と子供にかえっていくようなムチャばかり言ってしまう村田がなんか愛しく思えましたね。
ストーリーは、命の尊さと人間の孤独感をリアルに描いているんだけど、なんだろう、変な暗さを少しも感じなかったのは、村田(原田さん)と折見(オノマチさん)の2人の言葉のやりとりがとても軽妙だったからかもしれません。
若い頃、大きな賞を貰ったことのある小説家 村田省三は胃にポリープができ入院したことがキッカケで島にこもり健康オタクな生活をしながら執筆活動をしています。
折見は村田の書いた原稿を取りに来る女性編集者。
最初の頃、村田はなかなか折見に原稿を渡さないんです。
偏屈じじいですから・・・(笑)
そんなじじいが海岸っぺりを歩いていると砂浜に描かれたデッカイ龍の絵を見つけます。
その絵は折見が書いたものなのです。
それを知った村田は少し折見のことが気になります。
原稿をもらえるようになったのはこの絵がキッカケだったと私は解釈したんですけど。
シーンの中に出てくる影絵を使った紙芝居がとってもきれいだったな。神秘的でどこか懐かしくて。
折見が学生時代に人形劇をやってたことを聞いた村田が、島の子供たちにそういう娯楽を経験させてやってほしいと彼女に頼むんです。
折見は影絵を使った紙芝居をひとり芝居仕立てにして、島の子供たちに見せるんです。島の子供たちは大喜びなんですけど、実はいちばん喜んで感動していたのが村田本人だったの。
折見の影絵紙芝居を観ながら村田がだんだんと彼女に惹かれていく描写があるんですけど、それが少しも下世話な感じじゃなくて、むしろ自分と同じ匂いがする人間を嗅ぎ分けた瞬間の表情をしていたのが印象的でした。
ある日、村田の小説作品の出来栄えを巡って、折見と軽い衝突が起こります。
折見の的を得た自分の作品への苦言に、村田は元来の偏屈っぷりが災いして、小説の装丁を折見に頼む際、折見の父親の趣味が魚拓で、その作業を彼女が熟知なのを分かった上で、村田自身の飼っている金魚の魚拓を装丁に使用しろ!とわざと折見に命令するんです。
魚拓にするには、今生きてる金魚を殺さないとできません。
あんなに可愛がってる金魚なのに魚拓にしていいのですか?と折見に言われ、売り言葉に買い言葉で村田は承諾してしまいます。
そして村田の前で金魚を魚拓にする折見ですが、今まで感情を露わにしたことのない折見が涙を流しながら魚拓するのを観て、村田は動揺するんです。そして後悔もするんです。でも口に出さない、出せないんですよね。そのかわり村田は尋常じゃないくらいの汗をダラダラかきながら彼女の作業をずっと見てる。そのシーンは迫力がありました。
その後、2人で食事に行くんですけど、鯛の活け造りが出てくるんです。
折見はパクパク食べるんですけど、村田はひとくちも食べれない(笑)
女は強いなーって思ったシーンです(笑)
その後しばらくして、以前罹った病いの再発で折見が入院するんです。
赤いバラをたくさん買ってお見舞いに行く村田。
村田が病室を訪ねると折見はいなくて、院内を歩いていたら下の階のベンチに心細そうに座ってる折見の姿を見つけます。
折見と村田の視線が合います。
その折見がね、なんともいえない哀しい表情をするんですよね。
胸がギュッて痛くなるくらいに切ない目をするんですよ。
そして病院の中庭で2人で話すんです。
その中で、『折見の病いのことは自分がいちばんよく知っている』っていうような村田のセリフがあったんです。
これ聞いたとき涙が出た。
原田芳雄さん本人の言葉とダブって聞こえたから。
この時の2人の会話は短いやりとりだったんですけど、村田から貰った花束を抱えて病院に帰って行く折見の後ろ姿と、病院に入る前にもう一度村田の方を振り返り深々とお辞儀をする折見の姿にも涙が止まらなかった。
島へ帰る船の上で村田が『タバコ吸いてぇ〜〜〜〜』って叫んだところでドラマは終わります。
このドラマ、保存版にします。
オノマチ最高!
原田さん最高!